2016 Fiscal Year Research-status Report
異文化間葛藤場面におけるコミュニケーション・トレーニングの教材開発に関する研究
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24520567
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
園田 智子 群馬大学, 国際教育・研究センター, 講師 (10455959)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 異文化間コミュニケーション・トレーニング / アサーション / 日本人学生 / 海外経験 / グローバル人材育成 |
Outline of Annual Research Achievements |
育児休業取得により一時的に中断していた本研究は、平成28年度に研究を再開した。まず、遅れていた異文化間葛藤場面の事例の収集のため、自由記述式の質問紙を作成し、日本人大学生を対象にアンケート調査を用いて、約120件の事例の収集を行った。得られた調査結果は、教材作成を念頭に置きながらその内容を詳細に分析した。その結果は、「海外経験における異文化間コンフリクトとその対処法」として論文化し、『群馬大学国際教育・研究センター紀要第16号』に採択された。 また、今後の教材作成のために、質問紙調査の協力者の中からさらに数名の長期海外留学経験のある学生に、異文化間コンフリクトに関するフォローアップインタビューを行い、コンフリクト事例だけではなく、学生が実際の異文化間コンフリクト場面でどのような対応や結果を望んでいたのかを詳細に調査し、分析を行った。 これら2つの調査結果により、日本人学生の海外経験において、居住「(ホームスティ)におけるコンフリクト」「友人関係形成におけるコンフリクト」「異性問題」など8つの項目にコンフリクト場面が集中していることが明らかになった。一方で、青年期に特有の課題として、異性問題におけるコンフリクトや、アカデミック場面において、特にクラス内での発言の難しさなども見られた。 今年度後半からは、これら事例分析の結果をもとに、典型事例について仮想事例の作成に取り組んでいる。約15例から20例を取り上げ、イラストを交えたケース分析のテキストとなる予定である。これらの研究の中間発表として、2017年6月、東北大学において行われる異文化間教育学会におけるポスター発表に「日本人大学生の海外経験における異文化間コンフリクト ―アサーション・トレーニングの教材作成の試み― 」を発表予定であり、テキストの試案を発表し、意見を求め、さらに内容を精査していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
育児休業等で中断期間もあり、予定より遅れていた本研究だが、今年度、基礎研究の大まかな部分を終了することができ、実際のテキスト作成にも入ることができたため、次年度にテキストの内容を完成させ、後半に試用、効果検証を行うことが可能になったため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は本研究の最終年度となるため、研究の最終目標である異文化間コンフリクトに関するアサーションに関する教材の作成を完成させることが非常に重要となる。すでに、イラストを担当する協力者も得られたため、典型事例、仮想事例として適切なものを熟慮して作成し、実際の学生に意見を求めながらわかりやすく、とりくみやすいアサーション教材作成を行いたい。 その際には、上半期に行う本研究の研究結果に関する学会発表におけるフィードバックも参考に作成したいと考えている。 さらに、後半期にはそれらの教材を実際の講義において試用し、異文化間コミュニケーショントレーニングの教材として効果があるか、また、どのような点を改良するべきなのか等を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は基礎研究の継続が中心の研究活動であったため、研究費の使用が予定より少なくなった。また、教材作成に関しても、現在は本研究者において、内容を精査、作成している段階であるため、印刷費や、イラスト作成費など実質的な教材作成費の使用がなかったことも影響している。しかしながら、平成29年度には教材作成に関する諸費用が掛かってくるため、研究費の多くを最終年度で使用することになる予定である。また、学会発表など成果発表に関しても予算が必要となる予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、研究の最終年度であることから、教材を実際に作成する年度となる。 そのために、まずは、イラスト作成費(印刷費・謝金等)、異文化コミュニケーショントレーニングに関する効果測定とその分析に関する研究補助費、さらに研究成果に関する発表のための旅費を中心に研究費を使用する予定である。
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Research Products
(2 results)