2012 Fiscal Year Research-status Report
話しことば教育のシラバス作成に向けた日本語の雑談の類型化に関する研究
Project/Area Number |
24520577
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
筒井 佐代 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 教授 (80227438)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 雑談の構造 / 日本語教育 |
Research Abstract |
関東および関西地方在住の日本語母語話者による雑談を録音し、8時間分ほどの文字化資料を作成した。すでに作成していた文字化資料と合わせて17時間分のデータとなり、また友人同士、上下関係、同性同士、および男女間など、親しい関係であっても様々な参加者によるデータが収集できた。 過去に収集したデータを用いた雑談の構造分析の結果については、24年度に学術書として出版した。そこでは、雑談を話題ごとに区分し、その話題の種類によって、1.会話参加者に関わる話題、2.現場のものや出来事に関わる話題、3.第三者および現場にないものや出来事に関わる話題の三つに分類し、それぞれの話題のデータについて、連鎖組織を、(ア)質問から始まる連鎖組織、(イ)報告から始まる連鎖組織、(ウ)共有から始まる連鎖組織、(エ)独り言から始まる連鎖組織の4種類に分類した。また、各連鎖組織に典型的な言語形式の抽出も行い、会話教育のシラバスを作成するための土台となる分析方法を提案した。 この研究に基づき、24年度は、新規に収集したデータを用いて、同様の分析を行い、研究結果の補強を行った。また、新たな課題として、質問の発話に着目し、「ノダ」等の付加されない質問の発話が雑談中のどの位置にどのような機能で用いられるかについての研究を行って、質問文のもっとも基本的な形式の用法を明らかにし、会話教育への提言を行った。 これらの研究により、雑談は話題と連動してやりとりの仕方と言語形式が決まっていることが明らかとなったため、会話教育において、雑談を体系的に指導できる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データ収集がおおむね順調に進んでいること、また雑談の構造を分析するための方法を提案し、その方法に基づいて分析した結果、雑談の構造や言語形式をパターンとして取り出せることが明らかとなり、シラバス作成のために必要なデータが得られつつあることによる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、雑談のデータを収集する。特に男性同士の会話の収集に努める。 分析については、前年度までの連鎖組織の分析を引き続き行うとともに、雑談の連鎖組織の連続の仕方に傾向があるのかについての分析も行う。また、前年度から開始した、質問の発話の用法の解明を進め、日本語の雑談の展開において、質問という発話がどのような役割を果たすのか、他の言語との比較も視野に入れながら、日本語としての特徴を探っていく。 さらに、会話教育への応用を具体的に考えるために、シラバス項目の設定やモデル会話の作成などを試験的に行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
データの文字化、学会発表のための旅費、資料整理のためのアルバイト費用。
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Research Products
(3 results)