2014 Fiscal Year Annual Research Report
話しことば教育のシラバス作成に向けた日本語の雑談の類型化に関する研究
Project/Area Number |
24520577
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
筒井 佐代 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 教授 (80227438)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 日本語 / 雑談 / 会話分析 / 質問 / 意見の対立 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度においては、日本語の雑談データを分析し、対立が生じている雑談における対立の発話連鎖の特徴と、その対立を含む全体の話題の流れの特徴に注目した。雑談を続けて行く上で対立は円滑な流れの妨げとなる恐れがあるが、それを会話参加者がどのように行い、その後の雑談へとつなげていくのかを分析することによって、会話参加者が雑談という会話を進めていく上でどのようなことを重視しているのかを明らかにした。 日本語では対立意見を明示的に発話しないという指摘もあるが、本研究のデータにおいてはむしろ意見は明示的に述べられていた。ただし、述べた後にすぐその話題を終了し、関連する別の話題へと移るという特徴が、複数のデータにおいて見られた。このことから、日本語の親しい友人同士の雑談では、意見を言わないのではなく、摩擦が起きないような配慮をしつつも明示的に意見を述べることが重要であること、また相手と意見が異なることがわかればすぐにその話題を終了し、全く別の話題ではなく関連する話題へとずらしてお互いの合意を得てから大枠の話題を終了するという方法があることが指摘できた。 この3年間の研究を通して、日本語の雑談の中でも特に「会話参加者に関わる話題」について話している雑談における、質問の発話連鎖と言語形式の特徴、および意見の対立の発話連鎖と言語形式の特徴、また、それらが話題の流れのどの位置で表れるのかといったよりマクロな視点からの特徴について、明らかにすることができた。これらの言語行動には、雑談における日本語らしさが現れており、いつどのような質問をどのような形式で行えばよいのか、また相手と異なる意見を表明するにはどのような形式を用いて、どのようなやりとりを行えば、対人関係に支障を来さずにすむのか等、日本語教育におけるコミュニケーション能力の向上に関わる指導に有益な結果を得ることができたと考えている。
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Research Products
(1 results)