2012 Fiscal Year Research-status Report
外国語音声教育への自律学習法導入による音声習得の向上に関する研究
Project/Area Number |
24520651
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
新倉 真矢子 上智大学, 外国語学部, 教授 (70338432)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
正木 晶子 上智大学, 公私立大学の部局等, 講師 (10407372)
渡部 良典 上智大学, 外国語学部, 教授 (20167183)
小島 慶一 聖徳大学, 公私立大学の部局等, 教授 (90234757)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 音声教育 / 英語・ドイツ語・フランス語 / 学習ストラテジー / 学習動機 / ビリーフ |
Research Abstract |
本研究では、学習者が外国語の音声を学ぶ際に影響を受ける要因を探り、個人差が顕著だとされている発音分野に適した自律型発音支援プログラムを開発することにある。本年度は学習者の音声に関する外国語学習観や学習方法、学習動機などを知るために学習ストラテジー68項目、学習観68項目、学習ビリーフ26項目、動機40項目を含む質問紙をSILL (Oxford: 1990)、BALLI (Horwitz: 1987)、Berkil(2009)をもとに独自に開発した。質問紙調査は英語・ドイツ語・フランス語を学習する大学生(英語85名、ドイツ語111名、フランス語61名)を対象に行い、回答結果に探索的因子分析を用いて3言語共通に各5因子を導き出した。さらに要因と音声の習熟度との関係を探るために上記学習者の録音音声を「全体的評価」「イントネーション」、「リズム」の3項目について各言語評価者(英語3名、ドイツ語5名、フランス語10名)が5段階評価した。結果として1)3言語で学習ストラテジー、学習観、ビリーフと音声評価全項目との間に相関がみられた。2)英語の「即対応・反復練習型」学習ストラテジー、ドイツ語の「コミュニケーション重視型」学習観、フランス語の「未来期待型」動機は全項目の成績に相関がみられ、どの言語においても音声の習熟度と関連していることが示された。3)さらに得点を標準化した上で成績の上位群と下位群に分けて平均値の差を検証した結果、「代替・模索型」学習ストラテジーに3言語にほぼ共通して有意差がみられ、発音習熟度の高い学習者と低い学習者との間には対象音声の代替案を模索する方法について差があることが推測された。同様に「聴解・反復型」学習観も両群間の有意差が抽出され、音声習熟には何度も聞くことが重要であることを学習者が認識している結果が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、学習ストラテジーに関連する文献の調査・研究をもとに論点整理を行うことにより、本研究協力者の共通基盤づくりをすることから始めた。音声に特化した言語別質問紙は、3言語間の比較や統計処理を容易にするために3言語共通のものに変更したが、質問紙項目は学習ストラテジーのみならずビリーフ、さらに動機や学習観へと広げ、学習者を取り巻く総合的な音声環境について独自の質問紙を開発した。さらに質問紙を用いて項目使用の実態と音声習熟度との関係を調査し、統計処理を施してその相関を検証した。今後はさらに信頼性を高めるために言語別の分析を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
3言語共通に音声習熟度と項目との相関が得られたので、さらに言語別に信頼性を高めるための分析を行い、音声習得上問題となる分節素や超分節素について3言語別の自律型学習プログラムを作成する。したがって本年度の目的は以下の3点である。 1.言語別信頼性テストを行う 2.3言語別の自律型学習プログラムを作成する 3.前年度の成果を学会などで発表する
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
自律型学習プログラム作成のために文献収集に当たる図書費、打ち合わせ環境整備のための消耗品(プロジェクター、ホワイトボードなど)、統計処理のために謝金、学会発表のための旅費3人分を予定している。
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