2012 Fiscal Year Research-status Report
ラーニング・コモンズを利用したPBL型EAP教育としての模擬国際会議開催の試み
Project/Area Number |
24520674
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
深山 晶子 大阪工業大学, 工学部, 教授 (80301646)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
椋平 淳 大阪工業大学, 工学部, 教授 (00319576)
辻本 智子 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (30288758)
村尾 純子 大阪工業大学, 工学部, 講師 (40611314)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 模擬国際会議 / 図書館 / PBL / ESP / EAP / ラーニング・コモンズ / プレゼンテーション / シミュレーション |
Research Abstract |
近年、工学部における教育改革として、PBL (Project-based Learning)をカリキュラムの基軸に据える試みが始まっている。本研究は、「模擬国際会議 (Mock International Conference: 以下MICと省略する)開催」というプロジェクトを目標に、学習者に自分の専門分野における実際の英語使用場面を疑似体験させるEAP (English for Academic Purposes) 型のPBLを行うことを目的としている。 また、各大学図書館では、ラーニング・コモンズという共同学習スペースの設置が進んでいるが、単なる自習スペースになっていて有効利用されていない現状が散見される。本研究では、ラーニング・コモンズを、MICに向かっての学生の準備学習の場にすることによって、図書館のラーニング・コモンズの積極的有効利用を促すということも副次的効果として狙っている。 本年度は、実際の工学分野の国際会議(土木工学会のシンポジウム)に参加し、ディスコース・コミュニティーにおける英語使用の場を観察、特に、学会登録・口頭発表・ポスターセッション・学会後の研究者間のネットワーキングなどの英語のジャンル分析を行った。同時に、MIC運営のフレームワークを作成し、MIC開催当日の構成、発表人員、またラーニング・コモンズのスペース利用の構想など、MICに関連して各段階の綿密な作業計画を作成した。そして、手始めとして、MIC Trial 2012を開催し、MIC運営のパイロット版を完成させた。MIC Trial 2012は、次年度外部公開予定の本格的MICの予行演習となるものである。これらの体験に基づき、現在、MIC運営のためのフレームワークの再検討を行い、MIC 2013の準備段階へと進んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、ディスコース・コミュニティーの英語使用の分析を終え、MICのTrial版を実施することが第一の目的であった。 4月~6月: 大阪工業大学にラーニング・コモンズがなかったことから、図書館と協力してそのスペースを整備し、学生がMICの準備学習が行えるように、ホワイトボード、デスクトップPCなどをそのスペースに整備した。 7月~9月: MIC運営に携わる学生の学習支援や、その学生たちにサーキュラーやポスター作成を任せることによって英語のライティングの機会を提供した。 10月~11月: MIC Trial 2012において発表を希望する学生を募ったところ、口頭発表21名、ポスター発表13名の学生が参加を表明したので、各学生にProceedings用アブストラクトを提出させライティング指導を行った。同時に、連携研究者のネィティブ教員がプレゼンテーションの訓練をおこなった。 12月15日: MIC Trial 2012開催当日には、学内関係者が100名参加し、参加学生および教員が、国際会議の登録からランチョン・ミーティングまでの疑似体験をした。当初の予定通り、第1回目のMICは無事終了し、参加学生のアンケートには、「MIC体験が、実際の国際会議の予行演習となって大変役立った」という意見が多く寄せられ、MICが成功裏に終わったと評価することができた。MIC Trial 2012の体験に基づき、現在、MIC運営のためのフレームワークの再検討を行い、MIC 2013の準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度の目標は、外部公開の本格的MIC開催である。MIC 2013は一般に公開し、近隣大学や企業などからもオーディエンスを広く募り、社会に発信していくことを目指している。当日参加のオーディエンスには、発表者に対する英語質問もお願いし、模擬ディスカッションが行われる環境も整える。それに向けて、大学のカリキュラムに既に盛り込まれている英語プレゼンテーション科目と連動させながら、PBL教育をより充実させる。 こうした、PBL指導用教材については、MIC Trial 2012で収集した発表映像、プロシーディングズなどの資料を用いる。これらの言語資料を組み込んだEAP型PBL教育のパッケージ化を試みる。これらの資料は、例年行うことになるMICの基礎教材として用いられる。パッケージ化の目的は、担当者が変更になっても持続的にPBL教育が行えるような環境を整備しておくためである。 最終年度は、MIC 2014を開催することに加えて、大阪工業大学工学部機械工学科の実際の国際会議(Third Asian Conference on Mechanics of Functional Materials and Structures)が開催されることとなったことから、この学会に発表者を送り込むことと、この学会運営スタッフを養成することを目標としている。 以上述べたように、本研究で行ったPBLは、通常の英語授業と連動してPBL型のプロジェクトを行い、それらを通じて自立学習者に育った学生が、最終的に自分たちが属するディスコース・コミュニティーを実際に体験をするという流れを作ることができる理系学部格好のPBLと考えられる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
繰越金が生じた状況についてであるが、当初予定していたノートパソコンを1台、次年度にまわして購入することにしたこと、購入図書の選定を一度にせずに,学習状況を見ながら選書していく方針としたこと、次年度のMICは参加者が増加することも見込まれるので、一部繰越金としてその運営費に備えたことが主な理由である。 次年度の研究費の主な使用目的であるが、工学部におけるMICに参加した他学部の専門教員から、他学部の学生も参加させたいという要望が寄せられ、MIC 2013には知的財産学部・情報科学部学生の参加が予定されている。このことから、別キャンパスにある他学部の図書館分館にもラーニング・コモンズを設置する予定にしており、そのスペースにPCなどの備品を整備するとともに、国際会議関連の図書の配架を予定している。また、MIC 2013開催に関連する、ポスター・サーキュラー・プロシーディングズの印刷代、MIC当日の運営に必要な経費を見込んでいる。
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