2013 Fiscal Year Research-status Report
ラーニング・コモンズを利用したPBL型EAP教育としての模擬国際会議開催の試み
Project/Area Number |
24520674
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
深山 晶子 大阪工業大学, 工学部, 教授 (80301646)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
椋平 淳 大阪工業大学, 工学部, 教授 (00319576)
辻本 智子 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (30288758)
村尾 純子 大阪工業大学, 工学部, 講師 (40611314)
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Keywords | 模擬国際会議 / PBL / ESP / EAP / シミュレーション / ラーニング・コモンズ / プレゼンテーション / 自律学習 |
Research Abstract |
近年、工学部における教育改革として、PBL (Project-based Learning)をカリキュラムの基軸に据える試みが始まっている。本研究は、「模擬国際会議 (Mock International Conference: 以下MICと省略する)開催」というプロジェクトを目標に、学習者に自分の専門分野における実際の英語使用場面を疑似体験させるEAP (English for Academic Purposes) 型のPBLを行うことを目的としている。 また、各大学図書館では、ラーニング・コモンズという共同学習スペースの設置が進んでいるが、単なる自習スペースになっていて有効利用されていない現状が散見される。本研究では、ラーニング・コモンズを、MICに向かっての学生の準備学習の場にすることに よって、図書館のラーニング・コモンズの積極的有効利用を促すということも副次的効果として狙っている。 25年度は、24年度に行った第1回模擬国際会議(MIC Trial 2013)の実績を元に、今後継続してMICを行える体制を整えるとともに、工学部だけでなく、知的財産学部にも対象者を広げ第2回目の模擬国際会議を開催した。口頭発表に加え、ポスター発表も充実させ、学内で恒例で行われる行事としても認知された。 学生の自律学習としてラーニング・コモンズは有効活用されていたが、MIC開催の場として、整備されていなかったこともあり、開催場所は一般教室を利用してきた。しかし、平成25年度に文部科学省の私立大学等改革総合支援事業において、大阪工業大学がラーニング・コモンズ整備の助成金を獲得できたことから、ラーニング・コモンズがプレゼンテーションに適した備品や空間を備えることとなった。従って、本空間をMIC開催の会場にすることを視野に入れ現在計画の練り直しを行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度は、ディスコース・コミュニティーの英語使用の分析に基づき、模擬国際会議(MIC)のTrialを実施したが、25年度はTrialに基づき継続できる模擬国際会議のフレームワーク作成にフォーカスし、第2回のMICを実施した。 4月~10月: 図書館のラーニング・コモンズにおいて、MICの運営に当たる学生は自主的に英語学習を行ったり、運営の準備を行ったりした。同時に、Language Learning Center所属の連携研究者の英語ネィティブ教員がLLCにおいて運営学生に対して受付業務や当日の会場運営のための英語のスピーキング訓練を行った。 7月~9月: MIC運営に携わる学生たちにサーキュラーやポスター作成を任せることによって英語のライティングの機会を提供した。 10月~11月: MIC 2013において発表を希望する学生を募ったところ、口頭発表11名、ポスター発表21名の学生が参加を表明したので、各学生にProceedings用アブストラクトを提出させライティング指導を行った。同時に、連携研究者のネィティブ教員がプレゼンテーションの訓練をおこなった。 12月7日: MIC 2013開催当日には、学内関係者が約100名参加し、参加学生および教員が、国際会議の登録からランチョン・ミーティングまでの疑似体験をした。第2回目のMICは無事終了し、参加学生のアンケートには、「MIC体験が、実際の国際会議の予行演習となって大変役立った」という意見が多く寄せられ、MICが成功裏に終わったと評価することができた。MIC 2014はMIC 2013の体験に基づき、MIC運営のためのフレームワークの再検討を行い、準備を進めている。24・25年度はMIC当日の発表者はほとんど大学院生であったが、最終年度は学部生にも広く参加を呼びかけ、大学の恒例行事として定着させることを目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の目標は、発表者について、学部生にも広く参加を呼びかけ、大学の恒例行事として定着させることを目指すと同時に、一般公開にさらに努力をし、近隣大学や企業などからもオーディエンスを広く募り、社会に発信していくことを目指している。過去2年と同様、当日参加のオーディエンスには、発表者に対する英語質問もお願いし、模擬ディスカッションが行われる環境も整える。それに向けて、大学のカリキュラムに既に盛り込まれている英語プレゼンテーション科目と連動させながら、PBL教育をより充実させる方向で教育内容を再検討する。 また、今までに行った模擬国際会議で収集した発表映像、プロシーディングズなどの資料を組み込んだEAP型PBL教育のパッケージ化を完成する。これらの資料は、例年行うことになるMICの基礎教材として用いられる。パッケージ化の目的は、担当者が変更になっても持続的に教育が行えるような環境を整備しておくためである。 最終年度は、MIC 2014を開催することに加えて、大阪工業大学工学部機械工学科の実際の国際会議(Third Asian Conference on Mechanics of Functional Materials and Structures)が開催されることとなったことから、この学会に発表者を送り込むことと、この学会運営スタッフを養成することを目標としている。 以上述べたように、本研究で行ったPBLは、通常の英語授業と連動してPBL型のプロジェクトを行い、それらを通じて自立学習者に育った学生が、最終的に自分たちが属するディスコース・コミュニティーを実際に体験をするという流れを作ることができる理系学部格好のPBLと考えられる
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
模擬国際会議は年次開催なので、MIC 2014開催に係る費用が必要となる。MIC 2014には情報科学部学生の参加が予定されている。情報科学部は別キャンパスにあり、別キャンパスの図書館分館にもラーニング・コモンズが整備されたことから、情報科学部学生用の学習環境を整えるため、25年度の予算の一部を当該年度に流用することにした。 予算の主な使用目的であるが、工学部におけるMICに参加した他学部の専門教員から、他学部の学生も参加させたいという要望が寄せられ、MIC 2014には情報科学部学生の参加が予定されている。情報科学部は別キャンパスにあり、本キャンパスの図書館分館にもラーニング・コモンズが整備されたことから、情報科学部学生用の学習環境を整える。また、MIC 2014開催に関連する、ポスター・サーキュラー・プロシーディングズの印刷代、MIC当日の運営に必要な経費を見込んでいる。
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Research Products
(4 results)
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[Book] Insights 20142014
Author(s)
村尾純子・深山晶子・椋平淳・辻本智子・古賀友也・Ashley Moore
Total Pages
121(pp. 7-18, pp. 37-42, pp. 79-90)
Publisher
金星堂