2013 Fiscal Year Research-status Report
第二言語の文法習得における身体化認知経験の有効性に関する基礎研究
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24520680
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
濱本 秀樹 近畿大学, 文芸学部, 教授 (70258127)
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Keywords | 身体化認知経験 / インタラクティブジェスチャー / 認知意味論 / 心の理論 / テンス・アスペクト / 形容詞の意味理解 / 仮説形成推論 / 帰納的推論 |
Research Abstract |
この研究の目的は、第二言語習得(特に文法規則の学習、意味論的使用条件の学習)においての身体化認知経験(ジェスチャー、認知図式や実物提示、スライド表示など)の有効性の確認にある。今年度は昨年度に引き継ぎ4つの基礎実験を行い、その成果を教員免許状更新講習(近畿大学, 2013年8月)、全国英語教育学会(北海道北星学園大学,2013年8月)、Pragmatics meets Semantics Conference(オーストラリア、ブリスベングリフィス大学主催,2013年11月)で発表し、また2014年2月には大阪府立児童文学館で実技の公開を行った。4つのテーマは昨年度から継承したものを含め次の通り:(1)教員の教授手段としてのジェスチャーを自発的、偶発的なものではなく、あらかじめ教授内容に合わせて準備、工夫したものにする。この時アメリカンサインランゲッジなどの表現を取り入れる。 (2)ジェスチャーは学習者からの反応を図る道具にもなる。学習者のジェスチャーの意味的読解を検討する。(1)とあわせて教授環境でのインターラクティブなツールとしてジェスチャーを再度見直す。(3)英語のテンス、アスペクト指導に図式、スライド、ジェスチャーを導入する。特に現在完了進行形(スライド化)、過去形(ジェスチャー)、現在完了と過去の区別(ジェスチャーと認知図式)をとりあげた。(4)形容詞の習得についてhigh/tallの区別(昨年度から継続)のほかにfake/mereなどの深い意味論的知識をどのように教えるのかを工夫する。 以上の問題についてアメリカ応用言語学会(2014年3月実施)でも多くの研究者と意見交流を行い自己の研究の方向性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(理由) 第二言語習得に関して、文法学習や意味的学習における身体化認知経験(ジェスチャー、図式など)の有用性についての基礎的研究は順調に推移している。上記に関する4つの基礎的研究を遂行中であり、部分的にではあるがその研究成果を内外の学会で発表することができた。また大阪府立児童館においてジェスチャーと歌を多く取り入れ視覚、聴覚的経験を重視した児童とその保護者対象の英語指導を実演公開した。さらに教員免許状更新講習においても新知見の紹介を実施した。しかしまだまだ多数の観察実施と言語実験が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も第二言語習得における身体化認知経験の有用性について理解を深める。昨年度までの研究をさらに進め実験を計画的に実施する。知見をできる限り発表し、理論の問題点の発見、修正を経て論文化する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
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