2012 Fiscal Year Research-status Report
19世紀蝦夷地における和人・アイヌの接触・交流に関する研究―北海道有珠郡の歴史-
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24520775
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
檜皮 瑞樹 早稲田大学, 付置研究所, 助教 (00454124)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久留島 浩 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, その他 (30161772)
伊達 元成 伊達市噴火湾文化研究所, その他部局等, 研究員 (70620897)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アイヌ / 和人移住者 |
Research Abstract |
2012年度は亘理伊達家家臣団資料調査として、北海道伊達市における調査を2回(2012年7月21日~30日、2012年12月21日~26日)、北海道札幌市における調査1回(2012年9月10日~12日)、宮城県亘理郡亘理町における調査1回(2013年3月16日~17日)を実施した。伊達市での調査では、伊達市噴火湾文化研究所での亘理伊達家中関係資料の調査、及び大臼山善光寺ほか関連史料の調査を行った。札幌市での調査では、北海道立文書館での開拓使資料(亘理伊達家関係資料)の調査、及び札幌市琴似屯田兵関連史料の調査(亘理伊達家家臣で屯田兵へ参加した清野家資料等)を行った。亘理町での調査では、亘理町郷土資料館所蔵亘理伊達家中関係資料の調査を行った。 特に伊達市での調査においては、以下の資料群について封筒詰め作業、及び撮影を完了した。①田村家文書(田村家所蔵)、移住時当主;常盤新九郎(田村顕允)、資料全体で14群・695レコード、8628コマ撮影。②羽田家文書(大雄寺所蔵)、亘理時代の任免状など家格・由緒を示す史料などが中心、92レコード、648コマ撮影。③二階堂家文書(大雄寺所蔵)、亘理時代の史料が主で、任免状や知行宛行状が中心、34レコード(枝番含まず)、204コマ撮影。④加藤家文書(大雄寺所蔵)、亘理時代の史料が主であるが、任免状や知行宛行状、書状や詠句の短冊など、28レコード(枝番含まず)、135コマ撮影。⑤半沢家文書(大雄寺所蔵)、手習本や写本を多く含む、91レコード、1093コマ撮影。⑥村木家文書(大雄寺所蔵)、亘理時代と移住後の史料が主・亘理時代の史料は任免状や知行宛行状などのほか書状なども含む、212レコード、1258コマ撮影。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では、蝦夷地(北海道)の先住民族であるアイヌと、和人移住者との接触・交流の歴史を明らかにすることを目的とする。その基礎的作業として、和人移住者に関係する資料の調査が必要とされる。これは、アイヌ民族が文字資料を残さなかったことから、和人移住者が残した資料からの分析が不可欠となるためである。 2012年度は1870年代に集団移住した亘理伊達家家臣団資料の調査・撮影を行い、総計で1152レコード、11966コマ撮影を完了した。特に、①の田村家文書は、亘理伊達家の家老職として北海道移住時に中心的役割を果たした田村顕允に関する資料を中心とするため、本資料の整理と分析は19世紀半ばにおける和人移住者と先住民族アイヌとの接触・交流を解明するうえで重要な資料となる。 また、和人移住者やアイヌ民族に関する資料は、彼等を管理した開拓使に関する資料群にも多く含まれるため、2012年度は北海道立文書館での資料調査を行った。開拓使史料のなかの亘理伊達家関係資料、及び19世紀の有珠郡・胆振郡支配関係資料の確認・撮影、屯田兵に参加した亘理伊達家家臣の資料の調査・撮影、開拓使によるアイヌ統治政策関係資料の所在調査を完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は、①有珠郡・胆振郡関係の和人移住者関係資料の所在調査、②2012年度調査・撮影資料の目録化、③収集資料を活用した研究報告、という三つの作業を推進していく。 珠郡・胆振郡関係の和人移住者関係資料の所在調査に関しては、2012年度の調査で以下の資料群の所在が確認されたため、今後当該資料の調査・撮影を行う。①宍戸家文書(1箱、亘理伊達家の医官、近世の医学書など典籍が主)、②藤森家文書(3箱、移住後に穀物商・藤森商店を経営、大福帳や店卸帳など藤森書店の経営関係が主)、③兵頭家文書(1箱、移住以降も亘理伊達家の重臣、移住以後の史料が主)、④市橋家文書(1箱、近代以降の証文や土地台帳などが主)、⑤小熊家文書(1箱、亘理伊達家の軍学者ヵ、近世の典籍が主)、⑥その他(佐々家および楢山家資料、清野家文書、移住以降の伊達市域の写真資料)。さらに、和人移住者の移住前居住地である宮城県亘理町に所在する資料の調査もあわせて実施する。 また、2012年度撮影資料の目録化を行う。羽田家文書(大雄寺所蔵)・二階堂家文書(大雄寺所蔵)・加藤家文書(大雄寺所蔵)・半沢家文書・村木家文書の目録化は、研究分担者・協力者が分担して行う。田村家文書に関しては、アルバイト等を活用した目録化を予定している。 研究報告については、2013年度以降に北海道内での報告会開催を予定している。また、代表者、及び分担者・連携研究者は、調査成果を発表していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2013年度は、8月頃に第1回伊達市調査を、10月頃に第1回亘理町調査を、2014年1月頃に第2回伊達市調査を予定している。 第1回伊達市調査では、①宍戸家文書(1箱、亘理伊達家の医官、近世の医学書など典籍が主)、②藤森家文書(3箱、移住後に穀物商・藤森商店を経営、大福帳や店卸帳など藤森書店の経営関係が主)、③兵頭家文書(1箱、移住以降も亘理伊達家の重臣、移住以後の史料が主)、④市橋家文書(1箱、近代以降の証文や土地台帳などが主)、⑤小熊家文書(1箱、亘理伊達家の軍学者ヵ、近世の典籍が主)、⑥その他(佐々家および楢山家資料、清野家文書、移住以降の伊達市域の写真資料)と、大雄寺所蔵史料の目録確認作業を中心に行う。 第1回亘理町調査では、亘理町郷土資料館所蔵・渡部家文書の整理・撮影を行うとともに、市内個人所蔵資料の所在調査を実施する。この所在調査に関しては、亘理町郷土資料館学芸員菅野氏の協力を得て行う。 第2回伊達市調査では、現地学芸員や地域郷土史サークルと合同で、研究成果報告会を開催する予定である。
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Research Products
(4 results)