2013 Fiscal Year Research-status Report
「長命茂兵衛家旧蔵文書」の調査・分析に基づく年預の活動実態に関する研究
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24520781
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Research Institution | Kyoto University of Art and Design |
Principal Investigator |
長田 あかね 京都造形芸術大学, 芸術学部, 非常勤講師 (10574816)
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Keywords | 年預 / 長命茂兵衛家 / 翁 / 金春座 / 興福寺薪能 / 春日若宮祭 / 南山城 / 奈良 |
Research Abstract |
平成25年度は、2013年4月~6月、2014年1月~3月に、月1回のペースで「長命茂兵衛家旧蔵文書調査研究会」を開催し、前年度に引き続き、京都府立山城郷土資料館の預かりとなっている「長命茂兵衛旧蔵文書」の調査・整理にあたった。研究会の開催日程は、以下の通りである。 2013年4月26日(金)13:30~16:00、同年5月26日(金)13:30~16:00、同年6月28日(金)13:30~16:00、2014年1月31日(金)14:00~16:00、同年2月14日(金)13:30~16:00、同年3月28日(金)13:30~16:00 開催回数は合計6回。開催場所は、いずれも京都府立山城郷土資料館である。参加者は、2013年4月~6月が、長田あかね(研究代表者)・岡井毅芳(研究協力者)・小林凱之(同)・渡辺美秀子(同)の4名。2014年1月~3月は、長田あかね(研究代表者)・岡井毅芳(研究協力者)・渡辺美秀子(同)の3名であった。「長命茂兵衛家旧蔵文書」の書誌データは前年度にほぼ採取を終えているので、それらのデータを参照しつつ、平成25年度の研究会では、「長命茂兵衛家旧蔵文書」の目録・釈文(翻刻)の作成、併せて解題作成のための各文書の内容読解の作業を中心に進めた。併せて、公開用画像データの作成に向けた、作業用の画像データの整理作業にあたった。これらの作業は、同文書と長命茂兵衛家を中心とした年預の活動実態の解明研究に必要不可欠なものである。 また、研究代表者(長田)が「長命茂兵衛家旧蔵文書」および年預の活動実態の研究に必要な文献資料の収集を行い、参考文献目録の作成準備を進めた。具体的には、法政大学能楽研究所の般若窟文庫所蔵の資料のうち、特に本研究と関係が深いとみられる資料を選択し、それらの紙焼き写真の収集等を行った。 平成26年度も引き続きこれらの作業を進め、「長命茂兵衛家旧蔵文書」のさらなる分析作業及び長命茂兵衛家を中心とした年預の活動実態の解明を目標とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
交付申請書に記載した「研究の目的」は、「これまで充分に検証されてこなかった年預の活動実態を解明すること」である。その「研究目的」を目指し、平成24・25年度の研究計画には、以下の7項目を挙げていた。(1)「長命茂兵衛家旧蔵文書」の書誌データの作成、(2)同文書の目録作成、(3)同文書の画像データの作成、(4)同文書の釈文(翻刻)の作成、(5)「三番叟面」1面の調査データの作成、(6)同文書および年預に関する文献資料の収集と参考文献目録の作成、(7)同文書の分析および年預の活動実態の解明研究、(8)同文書の基礎データの公開。このうち、(1)~(4)の作業及び、その公開にむけた原稿作成の作業はほぼ完了しているが(ただし、(3)については、公開用画像データの再撮影の作業を平成26年度に予定している)、(6)については、現時点で把握している参考文献のうち約7割程度の収集にとどまっており、(7)については、まだ研究半ばの状態で、解題作成のための読解作業が約6割程度終了している段階である。また、(5)については、調査を依頼している研究協力者との調整の結果、平成26年度の早い時期に実施予定である。(8)については、(1)~(7)の作業がまだ終了していないため実施できていない。 以上の如く、「研究の目的」の達成度が「やや遅れている」主な理由としては、①内容読解の困難な文書が複数点存在し、解題作成等の作業に予想よりも時間がかかっている、②「長命茂兵衛家旧蔵文書」の現物を確認・使用しての作業が、文書の管理体制の都合上、保管施設においてのみしか実施できないため、予想よりも全体の作業の進行に時間がかかっているの2点が挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の本研究課題の推進方策として、平成26年度は、①平成24・25年度の実施計画の継続、②研究成果の公開準備を、実施計画として挙げたい。 そのうち①については、「長命茂兵衛家旧蔵文書」の釈文(翻刻)・目録・画像データ等といった基礎データ確立の完成、同文書および年預に関する文献資料の収集と参考文献目録の作成、基礎データおよび参考文献を参照しての同文書の分析作業および長命茂兵衛家を中心とした年預の活動実態の解明研究を、具体的作業として計画している。また、②については、本研究課題で得られた研究成果の可能な範囲での全面公開(書誌データ・画像データ・目録・釈文(翻刻)・解題・参考文献等のインターネット公開もしくは刊行物における公開)、学会・研究会等での研究成果の報告、研究代表者の所属学会と連携したシンポジウム等の企画・実施を予定している。尚、研究計画の遂行の上で、同文書の現物調査が管理体制上制約があるという課題については、保管施設の京都府立山城郷土資料館での調査研究会の回数を増やすことで対応したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に交付された助成金額のうち次年度使用額として576,310円が繰り越され、平成26年度の研究費は、同年の助成金額(交付決定額)の130,000円と合計して706,310円となる。次年度使用額が発生した主な理由は、平成25年度の作業計画実施の遅れに伴い、参考文献の収集にかかる費用(紙焼写真費、旅費等)、研究協力者への謝金等の支払いが予定した金額ほど発生しなかったためである。ただし、参考文献の収集に関しては、2014年3月に法政大学能楽研究所で申請した紙焼写真費の請求が、年度末の消費税増税の影響等のため法政大学地下街写真店の納品が遅れ、同年5月に発生したという事情もある。 平成26年度は以下の使用計画を予定している。 ①物品費:50,000円を計上(関連図書、文書整理用備品等の購入を予定)、②旅費:100,000円を計上(資料収集等の交通費及び宿泊費を予定)、③人件費・謝金:100,000円を計上(研究協力者の作業協力への謝金を予定)、④その他:250,000円を計上(紙焼き写真代・複写費・製本費・研究公開費等を予定)。
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