2015 Fiscal Year Annual Research Report
第2次大戦後・朝鮮人の渡日過程とその背景に関する歴史的研究
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24520782
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
藤永 壮 大阪産業大学, 人間環境学部, 教授 (00247876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊地知 紀子 大阪市立大学, 文学研究科, 教授 (40332829)
高 正子 神戸大学, 国際文化学部, 講師 (80441418)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 朝鮮 / 韓国 / 済州島 / 朝鮮人 / 韓国人 / 密航 / 大阪 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は研究成果の一部を朝鮮語に翻訳し、韓国で出版するための編集作業を中心に行った。その結果、2015年12月に5件のインタビュー記録を収録した『在日済州人の生活史2:故郷の家族、北の家族』をソウルの図書出版ソニンより刊行することができた。また1件のインタビュー記録を研究代表者の勤務先の学会誌に掲載した。 本研究は大阪でのインタビュー調査と済州島でのフィールド調査を中心として、第2次大戦後に朝鮮半島から日本へ渡航してきた人びとの、渡日に至る事情やその歴史的背景に関する調査を進めた。とくに研究期間の1~2年次では、渡航者を送り出す側である済州島から北部地方のある村を選んで、人びとの渡日体験とこれを可能にした地域ネットワークの内容について調査を実施した。その研究成果はすでに学会誌などで公開している。 また体験者へのインタビューも継続的に行い、その録音データをもとにインタビューの内容を整理、編集したうえで、記録として順次発表していった。研究期間中に発表できたインタビュー記録は合計5件となる。 本研究では、長く解明が困難であった戦後の朝鮮半島からの「密航」の実態を明らかにするため、歴史学・社会学・文化人類学の3分野の研究者が学際的な共同研究を実施した。その結果、まず基礎資料として、さまざまな体験者のインタビュー記録を整理し、その成果を日本語と朝鮮語の両言語で公開できたこと、またとくに送り出す側の地域ネットワークが渡航先の人的ネットワークとどのように結びついているのかを明らかにできたこと、などの点で研究上の意義を認められると考えている。
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