2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24520786
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
佐藤 泰弘 甲南大学, 文学部, 教授 (30289011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 昌明 神戸大学, 文学部, 名誉教授 (30106760)
高橋 一樹 武蔵大学, 人文学部, 教授 (80300680)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 荘園 / 土佐 |
Research Abstract |
共同での巡見として、土佐国における中世荘園の現地状況を把握するため、高知大学の市村高男氏に現地での説明およびガイドを依頼し、三泊四日にわたる巡見を実施した。土佐国の中世荘園は文書史料に恵まれているとは言えないが、石像遺物の特徴から中世の地域間交通を明らかにすること、港湾を拠点とした荘園支配の展開を考えるべきことなど、重要な知見を得ることができた。特に中世の港湾施設は、現在では河川の堆積によって内陸化している所があり、地形状況の変化は土佐国でも大きいことが分かった。なお土佐における海上交通は九州とも連絡しており、陸上から見る場合の地域特性とは異なった観点が必要であることを認識した。 個別の研究としては、佐藤が年度末に伊賀国黒田荘の現地踏査を実施し、荘域北部の夏見から始めて、荘政所と思われる無動寺、中村・矢川を通って、荘域南部の鹿高神社および松明調進の伝統がある一ノ井まで踏査した。 高橋昌明は備後国太田荘の成立期の状況を政治史的に把握する作業を進めた。高橋一樹は中世の東国における政治動向について研究を進め、平安末期における鎌倉の位置付けや交通形態から東国荘園の特質を把握するための基礎作業を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
荘園の地域性を明らかにするための共同での巡見を実施し、充実した成果を得ることができた。特に、荘園の地域特性の把握には海上交通への注目が必要であること、海上交通を加味した場合の地域間の連関が当初の想定とは異なるかもしれないことなど、現地調査の有効性・必要性を確認することができた。また個別の調査研究も順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度における現地調査は、共同の巡見では、瀬戸内もしくは日本海側(山陰地方)の荘園を取り上げ、今年度の土佐での知見との対比を試みてみたい。また2回ほど研究会を持ち、個別に進めている調査研究の情報交換を行いたい。また畿内荘園として、黒田荘とならぶ玉滝杣の検討に着手したい。史料検討のため古文書の写真版等の購入にウェイトを置いていたが、その大半を次年度に繰り越すことにした。史料検討を行う対象荘園を変更すること(当初は山間部の玉瀧杣を扱う予定であったが、むしろ沿岸部荘園を取り上げる方が有効ではないかと思われる)、現地巡見の経費への配分を厚くすることを検討し、荘園の地域特性を把握する方法を高めていきたい。とくに今度の研究では、現地調査へのウェイトを高めていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
共同の踏査を充実するためには、事前の調査準備および現地でのガイドが重要であることから、研究経費の配分を若干変更し、事前準備・現地巡見に必要な謝金および交通費のウェイトを高くしたい。
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Research Products
(3 results)