2017 Fiscal Year Annual Research Report
Etching as visual medium in Vienna around 1800
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24520835
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
山之内 克子 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (70267441)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 啓蒙主義 / 印刷文化 / 銅版画 / グラフィック / オーストリア / ウィーン / ハプスブルク君主国 |
Outline of Annual Research Achievements |
期間の最終年度にあたる本年は、作業の重点を次のふたつに絞り込んで進めた。すなわち、①これまでの研究成果について、報告・発表の機会を得ること、②史料調査に関しては、ヒエロニムス・レッシェンコールをめぐる主要なデータでありながら、史料保存状況などの関係からこれまで閲覧することのできなかったものにたいして、従来は調査対象に入れていなかった研究期間にも改めて問い合わせ、可能な限り情報を補充していくこと、の2点である。 ①に関しては、まず、本研究課題についての成果の総まとめとして、論文『18-19世紀ウィーンの画像印刷物の社会文化史意味 - ヒエロニムス・レッシェンコールを中心に (前・後編)』を執筆・公刊した。本論では、レッシェンコールの社会的位置価値と作品について、5年にわたり収集した史料に基づいて詳しく分析したほか、レッシェンコールの活動のバックグラウンドとして、18世紀末から19世紀初頭のウィーンにおけるポピュラー・グラフィックのあり方に関しても改めて掘り下げ、ひとつの俯瞰を示すことができた。さらに、秋から冬にかけては、東欧史およびハプスブルク君主国研究に特化した研究会での口頭発表の機会を得て、同地域の社会文化史を専攻する研究者たちとの間に、広く情報交換の場をもつことができた。 ②については、3月に行った現地での最後の史料調査作業の結果、とりわけオーストリア演劇博物館にて、同館専門研究員の紹介をつうじて、現時点では未公開の多くのオブジェクトを閲覧することができた。今回、新たに研究対象に加わった現物史料は、主として宮廷劇場とその俳優に関する図像作品である。これらは、作成に困難を極めたレッシェンコール作品リストの空白を補完すると同時に、本研究課題に従事することで新たに得られた「消費印刷物」という視点から、さらに新しい研究の切り口を得るためにも、非常に有益なものとなった。
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Remarks |
2018年1月27日に同読書会において行われた研究報告の概要とレヴュー。
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