2016 Fiscal Year Annual Research Report
The sacred vases, as an index to the change of the sacredness and the religious publicity in the period of the French Revolution
Project/Area Number |
24520840
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松嶌 明男 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (20306210)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 宗教的自由 / フランス革命 / ヨーロッパ近代史 / ナポレオン体制 / 礼拝の自由 / 没収済国有財産 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画の実施に際しては、初年度に転職して教育研究ならびに生活の面で状況が一変し、新たな環境に順応する上で多大な時間と労力を要したことと、また期間中の体調不良も相まって、研究に打ち込む体制を整えることがなかなかできなかった。同時に、フランス本国でも過激派による連続テロが相次ぎ、安全が確認されるまで渡航を保留せざるをえなくなるなど、想定外の障害によっても研究計画は遅延を強いられた。それでもなお、史料の収集をフランスでの実地調査を、特にブルターニュ地方四県で着実に進め、実地調査は計画通りに終えることができた。最終年度である2016年度には、大都市リヨンとローマ教皇庁で実地調査を行い、重要な史料を得たが、その分析とそれに依拠する業績の発表は、研究計画の期間内には終わらなかった。 業績の発表においては、研究を進める上でその軸となるような重要性の高い史料群を見いだすことが難しく、研究の方向性がなかなか鮮明なものとならなかった。結果的に、本研究計画の成果を当初の問題設定に則して具体的に取りまとめることは難しかった。そのため、本研究計画の成果を取り入れる形で、いくつかの業績を発表するに留まった。論文「礼拝を護るのは誰か」(山崎耕一編『フランス革命史の現在』)と、十年来の懸案事項であったナポレオン体制史の概説書『図説ナポレオン』(河出書房新社、2016年)が代表的な成果となった。後者はナポレオン体制史に関する欧米の研究動向を繁栄した内容の一冊として、特に社会史の視点からの軍事史の研究成果を取り入れたものとして、高い評価を得た。同書の執筆と作成は、掲載すべき図版の多さもあって困難なものであり、本研究計画の実施を結果的に遅延させる結果となった。さらに、2016年度中にある論文集のための原稿をかなりの労力を費やして仕上げたが、同書が予定された期日までに刊行されずに終わったことも痛手であった。
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Research Products
(3 results)