2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24520855
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
高浜 秀 金沢大学, 人間社会研究域, 客員研究員 (60000353)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 中国 / 馬具 / 西周時代 / 商代 / 銜 / くつわ / シベリア / 鋳造 |
Outline of Annual Research Achievements |
前2千年紀の初め頃、金属製の馬具が、馬車と共に西方から伝わり、中国でも作られるようになった。商代後期には青銅製の方形ヒョウが作られ、西周前期頃まで用いられた。西周時代前期・中期には円形のヒョウも作られた。西周前期にはまた西方から角製のヒョウも伝わった。これは3孔をもち、中央の1孔は他の2孔とは異方向に開く。西欧からシベリアまで分布し、時期も多くのものが青銅器時代後期、前11世紀から9世紀頃と考えられている。これを模して作られた青銅製ヒョウが以後発展して、中国の青銅製ヒョウの主流となる。銜は商代後期に8字形を2つ鎖状に組み合わせたものが作られ、西周時代には、8字形部分と、8字形を捩じった形の部分の2つを組み合わせたものが発展した。 今回の研究では、その発展の概略を推定し、周辺地域であるシベリア・中央アジアでも調査を行うと共に、鋳造法にも着目した。最終年度には、中国最古の馬具である商代後期の都、安陽殷墟出土の銜・ヒョウを調査し、また河南省平頂山市の応国墓地出土の西周時代前期の銜・ヒョウを調査した。殷墟でも棒状銜が出土したことを知ったが、殷墟の鎖状銜には范の痕跡が見えず、鋳造法は不明である。応国墓地出土品の観察により、西周前期の銜には、8字形部分の環端部に補鋳(?)の痕跡があるものと、それが内環の後部に移る“軸の長いもの”の2種類があることが判明した。これは西周時代銜の理解に重要である。これらの製法では捩じった8字形部分が2枚の鋳型で作られたが、戦国時代からは8字形部分が2枚の鋳型で作られるようになる。この二製法を明らかにしたのも、今回の研究の成果の一つである。後者の製法は、シベリア、中央アジアでは中国よりも早くから行われていたと思われるが、その影響関係については、機会があれば、さらに調査を行って研究したい。
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