2013 Fiscal Year Research-status Report
昭和初期の民俗学・口承文芸研究と隣接諸科学との影響関係についての基礎的研究
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24520927
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Research Institution | Nagoya Keizai University |
Principal Investigator |
高木 史人 名古屋経済大学, 人間科学系, 教授 (70329845)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯倉 義之 國學院大學, 文学部, 助教 (70546689)
川村 邦光 大阪大学, 文学研究科, 教授 (30214696)
菊地 暁 京都大学, 人文科学研究所, 助教 (80314277)
土居 浩 ものつくり大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (20337687)
真鍋 昌賢 北九州市立大学, 文学部, 准教授 (50346152)
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Keywords | 民俗学 / 口承文芸 / 方言学 / 葬送儀礼 / 民俗芸術 / 民間信仰 / 研究史 / 現在への応用 |
Research Abstract |
平成25年度には、大きく3つの研究活動を行なった。以下、列挙する。【1】平成25年6月2日に行なわれた第37日本口承文芸学会大会(於・東京都江東区森下文化センター)でのシンポジウム「「口承文芸」「民俗」研究の可能性を問う―昭和初期からの照射―」である(主催・日本口承文芸学会)。演題・パネリスト・コメンテーター・司会は次の通りである。パネリスト・「橘正一の個人雑誌『方言と土俗』から見えること―「方言」研究と「口承文芸」研究との交差点として」高木史人/・「〈ことばの聖〉@京都―新村出と民俗学的言語研究の交差点―」菊池暁 /・「雑誌『掃苔』に読む昭和初期「掃苔」趣味の諸相―その連続性と画期性について―」土居浩/・「「民俗芸術」の可能性と限界」真鍋昌賢/コメンテーター・川村邦光/司会・高木史人【2】平成25年9月9日~12日まで、広島県広島市及び長崎県諫早市、雲仙市、長崎市において、忘れられた民俗学者・結城次郎及び柳田國男の高弟である関敬吾についてのフィールドワークを行なった。また、長崎県立博物館において、壱岐の民俗学者・山口麻太郎文庫の調査を行なった。参加者は、シンポジウムと同じく、研究代表者及び研究分担者の全員である。【3】平成25年11月9日国際シンポジウム「東アジアの民俗学-歴史と課題-」(於・京都大学時計台記念館、「帝国日本の知識ネットワークに関する科学史的研究」主催において、当該研究が後援として参加した。この他、國學院大学図書館、国立国会図書館、故野村純一宅等で、文庫調査や聞き書きなどを行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の中間報告の性格を持つシンポジウムを日本口承文芸学会大会で行なうなど、まずは順調に全体のスケジュールをこなしている。 また、研究資料の蓄積と新しい知見の進展を目的としたフィールドワークと文庫調査も順調に行なわれ、特に結城次郎関係の調査は、結城が民俗学者に止まらず、自然科学者としても活躍していたこと(ミヤジマトンボの第一報告者)などを突き止め、また、1945年3月10日の東京大空襲後に消息が途絶えたことまでを確認した。 この他、故野村純一宅からは、柳田國男の高弟だった関敬吾の資料を提供され、これは研究分担者の飯倉義之が新たに國學院大学からも助成を得て整理・分析をすることになるなど、新資料の発掘も行なわれた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、これまでの研究をまとめ上げると同時に、さらなる資料の発見を目指す。具体的には、【1】盛岡市の橘正一関係の文庫調査及びフィールドワーク。引き続き、広島市及び長崎県での結城次郎の文庫調査及びフィールドワーク。【2】シンポジウムの開催。9月に東京・國學院大学を予定。【3】研究報告書の刊行。研究代表者及び研究分担者を中心とした研究成果の刊行を行なう。【4】資料集の刊行。結城次郎及び橘正一関連の著作等を中心に編集刊行を行なう。【5】現在の研究状況への応用の試み。昭和初期の研究状況を通して、いまここの研究状況、社会状況への具体的な働きかけを模索する。具体的には、平成26年7月12日の日本文学協会大会(於・いわき明星大学)国語教育部会において、高木が現行の小学校国語教科書に収録されている昔話教材のあり方を、当該研究の成果を応用して問い直す研究発表を行なう。 その他、個々の研究代表者、研究分担者においても、当該研究のテーマに即した各論を試みる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該研究は平成24年度、25年度、26年度の3か年に亙るものであるが、最終年度には、当該研究のまとめとしてのシンポジウムの開催、研究報告書の作成と刊行、資料集の作成と刊行という大きく3つの催しを予定している。このために相応の出費を予定している。特に、資料集は、橘正一の著作物、結城次郎の著作物をはじめとして、相当量の報告が見込まれる。したがって、そのための予算を予め取り置いたために、次年度使用額が生じた。 【1】シンポジウム開催費用。外部招聘講師招聘謝礼10,000円×2人=20,000円。外部招聘講師交通費10,000円×2人=20,000円。連絡通信費20,000円。シンポジウム会場費30,000円。印刷費10,000円合計100,000円。【2】研究報告書作成・刊行費。印刷製本費1,500円×300部=450,000円。発送費180円×300部=54,000円。合計504,000円。【3】資料集作成・刊行費。印刷製本費1,500円×300部=450,000円。発送費180円×300部=54,000円。合計504,000円。この他に研究会開催、事務連絡、研究資料等文献購入費、文庫調査・フィールドワーク旅費などを見込むと、平成26年度の支給額を越える相応の額になる計画である。そのために、818,909円を有効に繰り込んでさらなる研究成果の進展と公共への公開のために利用する。
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Research Products
(18 results)