2014 Fiscal Year Research-status Report
昭和初期の民俗学・口承文芸研究と隣接諸科学との影響関係についての基礎的研究
Project/Area Number |
24520927
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Research Institution | Nagoya Keizai University |
Principal Investigator |
高木 史人 名古屋経済大学, 人間科学系, 教授 (70329845)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯倉 義之 國學院大學, 文学部, 助教 (70546689)
川村 邦光 大阪大学, 文学研究科, 教授 (30214696)
菊地 暁 京都大学, 人文科学研究所, 助教 (80314277)
土居 浩 ものつくり大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (20337687)
真鍋 昌賢 北九州市立大学, 文学部, 教授 (50346152)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 民俗学研究史 / 昔話と方言 / 柳田国男と新村出 / 雑誌「掃苔」と墓制 / 結城次郎・橘正一 / 笑話・怪談 / 民俗芸術 / 宗教学・弔い |
Outline of Annual Research Achievements |
当該研究は、平成24年度から26年度までの予定で始められた。その成果としては、第一には平成25年度の第37回日本口承文芸学会大会(平成25年6月3日・於江東区深川江戸資料館)において、市民にも公開されたシンポジウム「口承文芸」「民俗」研究の可能性を問う―昭和初期からの照射―を催した。 これによって、当該研究は広く一般市民にも認知された。研究代表者の高木は、その後、昭和初期の結城次郎、橘正一、國學院大学方言研究会の活動を追尋すると同時に、それらの研究が現在の国語科教育にも適応して考えるべき問題提起を含んでいたと考えるにいたり、特に小学校国語科教育における〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕の教材の問題と関連させて、研究を進めてきた。歴史的資料を蓄積し分析しつつも、それを現在の問題に応用するいとなみだと考えている。 あるいは、研究分担者のそれぞれも個別に、飯倉義之の昭和初期の昔話研究から切り捨てられてしまった笑話や怪談に係わる研究。菊地暁の新村出を始めとする京都大学における民俗学とその周辺との関わりの問題の追究。土居浩の民俗学とはまったく異なる都市を歩きながら墓を探求する雑誌『掃苔』読者らの存在の発掘。真鍋昌賢の民俗芸術という領域を開拓しようとした竹内勝太郎らと柳田國男との距離の測定。川村邦光の昭和初期に書かれた宮沢賢治の童話から生と死との関係を抽出し分析しようとする探求。など、各自の持つ研究上の特長を生かした活動がなされてきたと考える。 その途中で、当初は想定していなかった、たとえば、結城次郎の自然科学における貢献や、橘正一の方言研究の全体像を包括的に検討する資料再考の余地が生じてきて、ここ平成27年度に改めて研究の延長を願い出て、認められたのは、まことにありがたく感謝する次第である。本年度は、当該建久の総括の年度と位置づけ、さらなる研究の深化に務めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究業績の概要に述べたように、当該研究は着々と成果を収めつつあるが、研究途中に、想定外の資料等が現れたために、いったん、研究の進度をゆるめ、新資料の検討などに一定の時間を費やした上で、今年度の研究に着手することになった。したがって、今年度には、新しい知見を盛り込んだ総括がなされることになるはずである。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は研究の総括に宛てられる。今年度中に、研究活動の報告会を行ない、全員の研究の進度とその到達点とを公開する予定である。同時に、進出資料の紹介・報告も行ない、それらの資料をいまここの社会の動き(小学校国語科教育など)に応用する術についても、検討を加えたい。
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Causes of Carryover |
当該研究を薦める途中で、当初は想定していなかった、たとえば研究代表者の研究対象では、忘れられた昔話報告者の結城次郎について、自然科学における研究活動の存在や、橘正一の方言研究の全体像を包括的に検討するために従来の個人雑誌『方言と土俗』という資料だけでは捉えられなくなるなど、資料再考の余地が生じてきた。あるいは、研究分担者の場合は、特に、土居浩の昭和初期の雑誌『掃苔』の分析に寄与する新資料が出現した。そこで平成27年度に改めて研究の延長を願い出て、認められたのは、まことにありがたく感謝する次第である。本年度は、当該建久の総括の年度と位置づけ、さらなる研究の深化に務めたい。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
結城次郎及び橘正一の研究では、九州島原半島の昔話伝承の位相を改めて精査し、昭和初期の結城の資料をその中に位置づけることを目指し、フィールドワークと文庫調査とを行なう。また、橘正一については、盛岡及びその周辺の文庫調査及びフィールドワークを行なう。また、『掃苔』の分析に寄与する新資料を入手し、その分析を行なう。 今年度の後半には、研究者・市民等にその研究成果を公開する報告会を行なう。また、資料の整理を行ない、その公開に努める。
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Remarks |
(1)菊地暁執筆
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Research Products
(14 results)