2013 Fiscal Year Research-status Report
社会的少数者・弱者保護のための表現規制のあり方に関する比較法研究
Project/Area Number |
24530003
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
東川 浩二 金沢大学, 法学系, 教授 (60334744)
|
Keywords | Free Speech |
Research Abstract |
平成25年度は、家庭の事情で研究について遅れが生じ、それに伴い、研究計画の変更を行わざるを得なくなった。 資料の蒐集については、判例と論文について、いくつか参考となる事例や文献を集めたものの、それらの整理や分析に着手することはできなかった。また昨年度からの研究成果の一部を論文として取りまとめることもできなかった。このことにより、当初予定していた研究会での報告を行うことができず、またその報告を足がかりとして平成26年度に行う予定の学会報告をすることができなかった。 他方で、平成25年度に予定していた、言論によって発生した害悪、または損害について民事救済を与えることの是非については、25年度後半にレストランにおける表示の誤りが大きく取り上げられたこともあって、虚偽の表示と民事救済というテーマで取りまとめるという方向性を定めることができた。 犯罪抑止のために、有害とされる言論を予め規制することができるかという問題については、平成25年度にイギリスにおいて、強姦を描写するビデオの視聴を犯罪化する法案が準備されているうという報道があった。そこで9月に予定していたアメリカにおけるインタビュー調査を取りやめ、イギリスにおいて、わいせつ表現を規制する法的枠組みについての調査、資料蒐集を行った。この訪問調査については、現地で多くの文献に目を通した他、ロンドン大学に提出された学位論文の閲覧と複写を行うなど、一定の成果を得ることができた。なお、当初予定していたインタビュー調査については、平成26年度に時期を見て実施するか、別の方法をを試みる予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
家庭の事情により、研究課題全体について遅れが出ているが、10月以降から徐々に通常の生活に戻り始め、平成25年度、26年度において、その遅れを取り戻せるよう、鋭意研究を進めている他、特に26年度の研究に生かすことができる形で、国内の複数の研究者を訪問し、研究における示唆を得た。この成果は26年度において十分に生かすことができるよう、努力したい。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年においては、研究が遅れている項目である表現規制の審査基準にかかわる議論をまとめ、国内での議論とアメリカで行われている議論、とりわけ審査基準に関する用語法の混乱と、我が国における審査基準のあり方についての議論をまとめる方向で研究を進めたい。 平成25年度の国内の研究者の訪問調査で、言論によって生じた精神的苦痛の問題をどのように考えるかという課題について、本件研究課題と関心を同じくする研究者と情報、意見交換をすることができたので、26年度はこれをさらに発展させる方向で、可能であれば、論文の執筆、発表、学会または研究会での報告に結びつくように、進めていきたい。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究実績の概要に記した通り、研究計画の変更があったため、資料蒐集に関する文献の購入費、判例・論文などの資料を整理、分析するために研究の補助者に支払う予定であった謝金などを使用しなかったためである。 平成25年度の遅れを回復するよう、平成26年度については精力的に作業を進めている。25年度に結果的に余剰となった研究費については、その作業を26年度に行うため、その際に、適切に執行して行く予定である。
|