2012 Fiscal Year Research-status Report
民法典の「分かりにくさ」をめぐる問題群の比較法史的研究
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24530015
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
兒玉 寛 龍谷大学, 法務研究科, 教授 (70192060)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 民法典 / 定義規定 / 欠缺補充 / 任意規定 / 強行規定 / 民法体系 / 学問法 / 法源論 |
Research Abstract |
1、民法典における欠缺問題について、その補充方法としての類推適用に関する基本文献であるJan Schroeder, Zur Analogie in der juristischen Methodenlehre der fruehen Neuzeit(1997), in:ders., Rechtswissenschaft in der Neuzeit,2010,S.65-109を翻訳した。訳文は、他の研究者による同氏の他の論文の翻訳とあわせて、2013年度に出版される予定である。 2、民法典における擬制について、ドイツ民法典162条・オーストリア一般民法典での欠缺補充・ドイツ旧商法典396条などを素材にして、停止条件の故意による成就妨害における成就の擬制(日本民法130条)と故意による条件成就将来における不成就の擬制(最判平成6年5月31日民集48巻1029頁)とでは、擬制の実質が異なることの論証を試みた。 3、2011年のイーストリア一般民法典の施行200年を契機として刊行された論考を収集し、施行100周年でのキーワードであった「われわれの民法典の生命力」をめぐる100年後の議論状況を整理することを試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1、民法典の分かりにくさをめぐる問題群として、①学問法との協働、②法律概念の変遷、③定義規定の回避、④概念形成のオープン化、⑤法源と欠缺補充、⑥法的構成のオープン化を設定した。 2、これらのうち、平成24年度は、①と⑤を取り上げるにとどまった。その理由は、平成25年3月に定年退職する教員の不補充が決定したことにより、平成25年度に全く新規の科目を2科目担当することとなり、そのシラバスと講義ノートの作成に多大な時間をとられたことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
1、平成25年度は、上記の問題群のうち、②法律概念の変遷、③定義規定の回避の2つを取り上げる。その場合、法律概念が要件・効果を含む完全法規へと変質したことが、定義規定の回避と連動していることを論証する。 2、平成26年度は、上記の問題群のうち、④概念形成のオープン化、⑥法的構成のオープン化を取り上げる。その場合、概念形成を判例・学説にゆだねたことが、法的構成のオープン化と連動していることを論証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1、当該年度に取り上げる問題群に関する資料の収集に努める。とくに、他の機関が所蔵する文献について、相互貸借制度を活用するため、複写費などこれに要するその他費目に研究費の執行の比重を移す。
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