2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530033
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
内貴 滋 帝京大学, 経済学部, 教授 (00609381)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | イギリス |
Research Abstract |
2012年12月の総選挙において成立した自民・公明連立政権はその公約として「道州制」の導入を掲げてその実現に向け基本法の成立を目指している。この状況を受け、政府の地方制度調査会、全国知事会、全国市長会、全国町村議会議長会など地方6団体の動向を調査した。また、政令市の動向把握のため北九州市の調査を行った。 一方、「地方自治の母国」と言われる英国については、バーミンガム大学地方自治研究所と、調査項目、質問事項、調査先の機関等の調査の基本項目について打ち合わせを行い、文献調査を含め英国の構造改革に調査に着手した。特に、初年度は保守・自民連立政権が成立させて「地方主義法」に基づき10の大都市において実施された、直接公選市長の導入の是非を問う住民投票(レフェレンダム)の動向を調査した。なお、調査には自治体国際化協会ロンドン事務所の協力態勢を確保した。また、在英日本大使館の見解の把握にも努めている。具体的な質問事項についてはLGA(英国自治体協議会)はじめリバプール市、バーミンガム市、ブリストル市に対し調査分析に着手し、適宜その内容を整理し 本学(帝京大学)の研究論文「英国におけるレフェレンダムと間接民主主義」として発表するともに、英国の地方構造の現状を含め自治体の責任である英国消防の実情を「イギリス(自治体)消防事情」を出版した。 なお、英国の政治状況は流動しており、スコットランドにおける地方独立の動き、ヘーゼルタイン報告に基づくさらなる地方改革案、地域主義法に基づく包括権能実施の見通しなどさらなる調査が必要であるので今後も計画的な調査実施に努めて行きたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に即して、国内における調査、英国における調査いずれも、おおむね順調に進展している。ただし、英国における調査については 「研究実績の概要」に述べたとおり英国の国と地方をめぐる動向が流動しており2013年度、2014年度における現地調査が 必要となる見通しのため、今年度の英国の現地調査は他の調査と合わせて行うなど調査旅費の執行を極力抑えて今後に備えることとした。そのため旅費の執行状況が少ないが内容的には順調である。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度の基本調査をもとに今後、我が国においては さらなる道州制、大都市制度改革、地方自治法の改正の動向の把握に努める。英国においては一層制に向けての地方構造改革の動向、ヘーゼルタイン保守党顧問による地方改革提案、直接公選首長制の導入の是非についての住民投票の詳細分析(大都市バーミンガム、マンチェスター、リーズ、シェフィールドなど9都市は反対、賛成はブルストル市のみ)直接公選制を議会決定により実施しているリバプール市の動向、国の出先機関の廃止、権限委譲の動きなど国と地方構造をめぐる改革動向を的確に調査する。 また、2012年10月15日にキャメロン英国首相とハモンド スコット首席大臣がスコットランド独立の是非を問う国民投票を実施することで合意したが、これを受け2014年秋に実施される予定で準備が進むこととなる。この大きな地方分権と呼ばれる最近の動向を調査しスコットランド、ウェールズ、北アイルランドとイングランドの関係の把握につとめ我が国の道州制動きとの比較も行いたい。 また、英国連立政権が実施する「国から自治体、自治体から住民へ」という二重権限委譲論の進捗とその背景を分析し、我が国の権限委譲の問題や住民参加の役割を研究する。 さらに、選挙制度改革、直接公選市長導入、スコットランド独立に際して行われる 国民投票・住民投票(レフェレンダム)を分析し、我が国でも焦点となっている議会制民主主義と直接民主主義との関係・役割を研究する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国内においては、自民・公明など与党、民主・維新など野党の道州制に対する動きを調査するとともに、政府地方制度調査会の動向、全国知事会、全国市長会、全国町村会など地方6団体の動向などを調査分析する。 海外においては24年度の基本項目(地方構造、議会と内閣の関係、直接公選市長制など)に即しさらなる詳細は調査を行うとともに、新たな動きとしてのスコットランド独立の動向や国民投票・住民投票(レフェレンダム)についてその背景を含め調査分析を行う。そのためバーミンガム大学との協議を図りながら、英国政府、英国保守党・自民党・労働党、英国自治体協議会、英国自治体(バーミンガム市、リバプール市、ブリストル市などの大都市、ダービシャーなどの諸都市)、スコットランド政府、スコットランド自治体協議会などの地域政府の関係機関に調査を実施する。また、その動向を報道する自治体関係機関誌(Muicilal Journal,Local Government Cronicle)の分析も行う。 また、在英国日本大使館、スコットランド総領事館など在英の公的機関に対しても必要な調査を行う。
|