2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530039
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Research Institution | Osaka University of Economics |
Principal Investigator |
藤澤 宏樹 大阪経済大学, 経営学部, 准教授 (60310984)
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Keywords | 憲法 / 社会保障法 / 教育法 / 韓国法 / 社会福祉法 / 子どもの貧困 |
Research Abstract |
平成25年度は、文献収集およびいくつかの論文執筆を行った。まず、文献については、韓国教育支援法制の最新状況をしるための収集を行い、一定の成果を得た。韓国は制度の改変が早い国であるため、今後とも最新状況の把握につとめていきたい。とりわけ、現在の韓国では、学校給食を無償とするかどうかという「無償給食論争」があり、この議論の動向については、注視する必要があるものと考えている。また、無償給食に代表されるように、近年、地方自治体のとった政策が、韓国全土に波及するという流れがあるので、この動向をつかむ努力を行った。平成25年度は、京畿道、大田広域市の資料分析を行った。平成26年度、準備ができたものから公表して行く予定である。 次に、論文執筆については、韓国の最新事情を紹介したものと、憲法学の立場から社会保障の権利論を検討した論考を公表した。また、日本の教育支援法制の中核的存在である就学援助制度の成立過程研究に関する論考の公表が決定している。これで、就学援助制度を形成する4つの法律(就学援助法・学校給食法・学校保健法・日本学校安全会法)における就学援助規定の成立過程すべてを網羅することができた。この作業により、就学援助制度の憲法上の根拠は、従来考えられてきた憲法26条ではなく、憲法25条および26条の2つの条文を根拠とする制度であることを明らかにした。今後は、就学援助制度の給付方法の特質、すなわち、実は就学援助制度は単なる現金給付の仕組みではなく、現金給付と現物給付の2つの方法を併用することが想定された仕組みであること、を明らかにするため、さらに、就学援助制度成立過程の研究を深めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
体調を大きく崩したため、文献収集および論文公表のペースが若干遅れた。とりわけ文献収集については、韓国渡航ができなかったため、若干の遅れが生じている。ただし、日本国内でも、韓国の法制度に詳しい研究者とのつながりや、研究会での情報収集等で、かなりの程度の文献収集が可能であるので、平成26年度その遅れを取り戻したい。 論文執筆については、おおむね順調であると考えている。平成25年度も2本の論文を公表した。さらに、現在作業中のいくつかの論文については、公表のめどが立っている。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに文献収集及び情報収集につとめたい。現在、韓国では地方自治体レベルの政策が国家レベルへと拡散していくという動きがあり、学校給食はその典型例とされている。この動きを追っていきたい。とりわけ、ソウル市の動向を見ていきたい。新聞等で最新の情報は入手できるものの、文献の収集がいまだ不十分であるから、今後取り組んでいきたい。 また、論文執筆については、平成26年度も、数本の論文公表を予定している。今後、この成果を、さらに深化させ、出版しようと考えており、論文執筆と同時に準備を進めていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
韓国教育支援法制に関わる文献及び情報収集について、継続する必要が生じたため。 文献及び情報収集のため、書籍購入と渡航費用に用いる。
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