2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530044
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中谷 和弘 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (60164216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 由梨佳 防衛大学校, 人文社会科学群, 講師 (80582890)
鶴田 順 海上保安大学校, 国際海洋政策研究センター, 准教授 (90524281)
坂巻 静佳 静岡県立大学, 国際関係学部, 講師 (10571028)
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Keywords | 海洋法 / 国連海洋法条約 / 無害通航 / 国家管轄権 / 旗国 / 沿岸国 |
Research Abstract |
4名の各々の研究分担に従って、研究をすすめた。 中谷は、1972年に米国とソ連の間で締結された公海上での事故の防止に関する協定(INCSEA)についてその制定経緯・解釈や同協定をモデルとした他の諸協定への広がりについて検討を行い、その上で、米中間での同種協定締結の政治的可能性や公海以外にも海域を広げることによって日本と中国の間で協定を締結することの妥当性についても検討をすすめた。 鶴田は、日本における国連海洋法条約の実施のための国内法令の制定・適用・執行について検討した。この主題に関して包括的な整理を行うとともに、規制薬物を密輸入する又は密輸入に関与する領海外の外国船等に対する沿岸国による執行権限の行使、外国漁船に対する追跡権行使中に発生した妨害行為への沿岸国法令の適用・執行、ソマリア沖海賊事案について日本の裁判所が下した判決などについて検討をすすめた。 石井は、海洋における航行の安全確保と国家管轄権との関係を巡る法的諸問題についての研究を進め、その成果として(1)国際法上の海賊概念の形成過程、(2)防空識別圏の国際法上の地位、(3)原子力船の国際法上の地位に関してそれぞれ論考を公表することができた。 坂巻は、軍艦及び政府船舶に特有の航行の安全確保に係る法的諸問題にかかわり、公船の免除に関する文献・資料を収集し、検討を進めた。今年度は国家免除のみならず、軍艦及び政府公船に特有の特権免除(軍艦の不可侵等)に関わる国際法規則及び海洋法等から当該課題にアプローチすることを試み、公船の執行措置からの免除に関する国際法上の諸規則の解明を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各人の研究テーマに沿って着実に検討をすすめているため、おおむね順調に進展しているといえる。関連する様々な事件・事象が生じているため、正確に事実関係を把握し国際法上の検討を加えることは容易ではないが、可能なリーソスの範囲内で最大限の努力を継続している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は最終年度にあたるため、各人の研究テーマをまとめるとともに、全体として船舶の安全確保のための国際法枠組にとって何が重要かを提示することを目指す。そのため、 従来検討していないテーマであっても特に重要と考えられるもの(例えば、海賊に対する身代金の法的評価)についても検討を加える予定である。各人の検討を一通りまとめた段階で全体のとりまとめのための会合を行うことを予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
海外に発注した書籍の一部が未着であっため、このような事態が生じた。 関連分野の書籍の購入に充てる。
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Research Products
(6 results)