2012 Fiscal Year Research-status Report
知的財産高等裁判所の功罪と多元分散志向の可能性-大合議判決をキーワードとして-
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24530110
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉田 広志 北海道大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (70360881)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 大合議判決 / プロダクト・バイ・プロセス・クレイム |
Research Abstract |
論文を4本投稿・発表した。 そのうち1つは、本研究研究の主要部分を構成する事になる、プロダクト・バイ・プロセス・クレイムに関する知的財産高等裁判所大合議判決(知財高判平成24年1月27日・プラバスタチンナトリウム事件)の研究(判例時報誌)である。この論説では、過去の関連裁判例と今回の大合議判決との関係性を重視した。また、過去の最高裁判決(リパーゼ事件)との関係についても詳しく研究した。判決は、従来見られなかった新たな解釈手法を打ち出したため、それについて重点的に研究を行った。この研究に基づいて、日本弁理士会主催の公開フォーラム(2回、東京及び大阪)で研究発表を行い、成果を実務家に還元するとともに、多くの実務家から意見聴取・議論を行うことができた。また、同志社大学研究会でも報告し、多くの研究者と意見交換を行った。この論説および研究発表は、本研究課題の大きな柱として位置付けられる。この先もフォローする。 その他、出願に係る発明についての補償金請求権について、過去の最高裁判決で未解決とされた論点に言及した判決(知財高判平成22年5月27日ゴルフクラブ事件)について、判旨を批判する論文(新・判例解説Watch誌)を発表した。 補正却下手続きに関する判決(知財高判平成23年10月4日逆転洗濯方法事件)について判例評釈(新・判例解説Watch誌)を発表するとともに、過去の裁判例・学説との関係を調べ、解釈論ではあまり活用されていなかった条文に着目した新たな学説を打ち出した論文を発表した(特許研究誌)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新しい大合議判決(平成24年1月27日)の研究を行い、論説を発表した。また、この論説を基礎にして、実務家対象のフォーラムや、研究発表会を行った。これは当初の研究計画通りの進行である。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の平成24年大合議判決の影響についてさらに研究を進める。また、新しい大合議判決(平成25年2月1日)が出されたのでこの研究を進める。過去の大合議判決については、順次、近年の裁判例に対する影響力を調査していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
大きな変更はない。 約6万円の未使用額が発生したが、旅費(出張費)に使うには少額であり、また緊急に購入しなければならない消耗品もなかったため、効率的に使用するためには次年度に繰り越した方が良いと判断した。次年度に、旅費ないし消耗品を目的として使用予定である。
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Research Products
(5 results)