2014 Fiscal Year Research-status Report
知的財産高等裁判所の功罪と多元分散志向の可能性-大合議判決をキーワードとして-
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24530110
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉田 広志 北海道大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (70360881)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 知的財産高等裁判所大合議判決 / クレイム解釈 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究論文を3本執筆・投稿した(うち1本は7月公刊予定)。 本年は、特許審査過程において出願後に提出した技術的資料が、審査にどのような影響を与えているかについて研究した(「事後的に提出した技術的資料(実験証明書)と特許性判断の問題」『別冊 パテント』)。この問題は、従来の研究がほとんどなく、また従来の研究者が苦手とする論点だっため苦労が多かったが、発表にこぎつけることができた。また、この問題に関して東京と大阪で開催された日本弁理士会公開フォーラムで研究発表することができた(来場者は合計700名超)。本論文で取り扱った問題は、特許法の論点の中でも根幹に関わる「クレイム解釈」について大きな影響を与えるため、今後の本研究に大きく寄与することが期待できる。 また、従来の研究蓄積を生かして、職務発明の対価の算定について判例評釈を発表した(『新・判例解説Watch』)。これは、使用者が従業者から承継した考案・意匠について、使用者が実施した期間のうち権利化前については、対価算定のベースとならないとした事案である。判決の根拠は、考案・意匠については発明と異なり出願公開に基づく対価請求権がない点にあるが、他の裁判例を根拠にこの点を批判する論考である。 同じく職務発明に関し、2015年にも改正が予定されている論点についてすでに研究を投稿済みである(『(仮)飯村敏明裁判官退官記念論文集』、7月刊行予定)。これは、平成16年改正法が適用される実質的に初の裁判例であり、現在国会審議中の再改正案にも影響を及ぼす点で注目度が高い事案である。 2014年はやや研究が低調だったため、研究最終年度である本年度は心して取り組みたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従来の研究をフォローできた。特に昨年度悩んでいた研究について一定の成果を出すことができた。また、クレイム解釈について、研究の蓄積を深めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度は、研究最終年となる。重要な研究対象たるテーマの最高裁判決が6月に予定されており、こちらの研究の準備を進めるとともに、総まとめとなる構想についても組み立てる。
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Causes of Carryover |
2014年4月に事故で足を骨折し、予定していた学会出張(2回)を欠席せざるを得なかったために、消化予定の旅費宿泊費が支出できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
旅費・宿泊費として使用予定。
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Research Products
(3 results)