2012 Fiscal Year Research-status Report
移民の流れの適正な管理と難民保護の両立の条件―EUの共通移民政策の分析
Project/Area Number |
24530115
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中坂 恵美子 広島大学, 社会(科)学研究科, 教授 (20284127)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | EU / 移民 / 難民 / 国境管理 / 北アフリカ / 東アフリカ / 西NIS |
Research Abstract |
本年度は、国内外での文献調査によって、一次資料を広く収集し分析を行った。国内では、日刊紙であるBullitin Quatidium Europe等を慶応義塾大学図書館で閲覧し現在のEUの共通移民政策の動向を調査し、また、国外ではEU委員会の図書館等で雑誌論文等により関連情報を収集した。 本研究の主たる対象地域の一つであるアフリカに関しては、EUがチュニジア等と進めているモビリティ・パートナーシップ、東アフリカのタンザニア及びケニアに対して行っている地域保護プログラムの最近の展開について特に調査を行った。また、アラブの春によって多くの移民が北アフリカから押し寄せたのち、EU域内における人の自由移動の体制そのものを見直す動きがいくつかの構成国では生じていることを調査した。 さらに、EUの東側に隣接する国の問題として、ベラルーシをとりあげ、国境管理及び難民保護に対するEUの援助について分析した。ベラルーシは、EUと再引取り条約を締結しておらず、EUへの非正規な移民の経由国となる可能性から、同国との悪化した関係にもかかわらず、国境管理に対しては多額の援助を行っていることを明らかにした。 それらの研究をもとに、「タンザニアにおける難民受け入れと負担の分担―歴史、法、EU」(2012年8月)、「EUの対ベラルーシ政策―民主化要請と国境管理等への支援」(校正中)という二本の論文を著した。また、3月には民主主義科学者法律協会国際法部会の研究会において、「EUと北アフリカとのモビリティ・パートナーシップ」と題する報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は充実した文献調査とそれによる成果を発表できたことで、研究を大きく進展させることができた。特に、研究の目的としてあげた、「EUと第三国の間での移民受け入れ協定の内容の分析」は北アフリカ諸国を対象に、「国境管理措置及びEUと第三国との再取引き条約の分析」、「これらの措置の庇護申請へのアクセスの保障との両立性について」は、EUの東側の諸国を対象に明らかにすることができた。当初の計画では、本年度はアフリカの問題のみを扱う予定であったが、EUの東側の諸国の問題にも取り組むことができたのは、当初の計画以上の進展である。 しかしながら、本年度アフリカ等において行うはずであった現地調査が、準備を進めていたものの、実現に至らなかったことにより、実際の「効果」についての情報収集に関してやや遅れが生じている。 以上のように、文献調査が予定以上に進んだが現地調査が遅れているという状況であり、全体的にはやや遅れていると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究はあと三年間継続するものである。当初は年度ごとに対象地域を区切って調査を行う予定としていた(一年目はアフリカ、二年目はEUの東側諸国、三年目はアジア諸国等)。しかしながら、現地の社会情勢及び、EUの政策の進展により、それぞれの地域に当初割り当てていた年度に行くことが必ずしも適切でないことがあるので、それぞれの現地調査の時期については、多少柔軟に考えていくことが必要となった。 しかしながら、最終的には、現地調査、文献調査ともに、予定された研究計画すべてを期間内で実施する。すなわち、アフリカ、EUの東側の諸国、アジアという三地域に関する調査を実施し、EUの共通移民政策が各地域に及ぼしている影響を分析するという課題についての研究を行う。 二年目である次年度の計画としては、まず、一年目に後れを取った現地調査を充実させる予定である。最低限、アフリカ及びEUの東側諸国への調査を実施し、EUの移民政策が現地にどのような実際的な効果を与えているのかを明らかにすることが課題である。さらに、一年目の調査で明らかとなった次のような側面についての分析をさらに進め、論文又は報告という形での成果発表へとつなげていく。すなわち、EUの移民政策は対外的な影響をもつだけでなく、EU内の自由移動の体制に対しても重要な変化をもたらしていることが、一年目の調査でわかった。したがって、この点についてもさらに分析を進めたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度、やり残したアフリカ等における現地調査は、次年度に実施する。そのための研究費が次年度に残されている。 それ以外は、当初の計画予定のとおり研究を遂行する。すなわち、当初計画していたように、EUの東側諸国に関する現地調査も次年度実施する。また、文献調査に関しては、引き続き国内外の雑誌、日刊紙、書籍等を中心に新たに発刊されたものを入手し調査していく予定である。
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Research Products
(1 results)