2012 Fiscal Year Research-status Report
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24530122
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Japan Coast Guard Academy (Center for Research in International Marine Policy) |
Principal Investigator |
前田 正義 海上保安大学校(国際海洋政策研究センター), その他部局等, 准教授 (20559231)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際情報交換 |
Research Abstract |
平成24年度の研究実績の概要について,取材源秘匿権についてのこれまでの本研究代表者の基礎的な研究(前田正義「いわゆる取材源秘匿権の法理」大阪大学大学院法学研究科博士論文,1-122頁,2008年)を基盤として,日本法における取材源秘匿権についての法的蓄積は必ずしも十分ではないことが指摘できることから,世界的にみても取材源秘匿権についての多くの法的蓄積を有するアメリカ法を素材とした比較法研究を行った。具体的には,日本およびアメリカの取材源秘匿権に関する判例および学説の最新の状況について,調査そして考察を行った。 日本法については,取材源秘匿権に関わる判例および学説について,取材源とジャーナリストとの内々の信頼関係をもたないノンコンフィデンシャル情報の保護という取材源秘匿権の客体(対象)の見地から,またメイン・ストリームのジャーナリストに属さないフリー・ジャーナリストの取材源秘匿権の享有主体性の見地から,取材源秘匿権の主体と客体をとおして,法的分析を加えた。 また,比較法の視点から,アメリカ法については,ノンコンフィデンシャル情報の保護という取材源秘匿権の客体の問題について,アメリカの判例および学説を検討した。また,職業ジャーナリスト以外のジャーナリスト(bloggerなど)に取材源秘匿権のスタンディング(訴訟当事者適格)を認めるか否かという取材源秘匿権の享有主体性の問題について,アメリカの判例および学説を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までの達成度については,「研究実績の概要」において述べた点まで「研究の目的」は達せられた。しかしながら,スケジュール調整の問題により,当初予定していた,アメリカ法における取材源秘匿権について多数の論文(E.g., Anthony L. Fargo, The Journalists Privilege For Nonconfidential Information In States With Shield Laws, 4 Comm. L. & Pol’y 325 (1999))を執筆する Anthony Fargo 教授(インディアナ大学〔アメリカ〕)に対してインタビュー取材および討議する時間をもち,アメリカ法における取材源秘匿権の最新の動向を調査し,併せてインディアナ大学において,取材源秘匿権に関する資料を収集することはできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策等については,前年度までの研究成果をふまえたうえで,取材源秘匿権に対して否定的な見解への検討素材を提供するとともに,帰納法的アプローチにより,マスメディアの特権論および報道の自由の客観法的理解に対する検討素材の提供を試みる。それにより,取材源秘匿権の法理と,マスメディアの特権論および報道の自由の客観法的理解が関係するものと考えられる,取材源秘匿権の享有主体性(bloggerなどへの享有主体の拡張)などの論点を抽出し,一定の考察を加える(この考察は,報道の自由について,知る権利からではなく,表現の自由から再構成する契機ともなる)。 つぎに,これらの研究成果について,本務校の研究紀要「海保大研究報告」(海上保安大学校)などにおいて,公表することを予定している。 併せて,取材源秘匿権に関する最新の日本法およびアメリカ法の判例および学説の調査そして検討を並行して行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費の使用計画については,ネット・ジャーナリストに対する取材源秘匿権の適用が問題となった事件(Jason O’Grady v. The Superior Court of Santa Clara County, 44 Cal. Rptr. 3d 72 (6th Cal. App 2003))などに対する取材源秘匿権の適用可能性という問題について,事件関係者などに対するフィールド・ワークを実施し,事件の具体的背景をふまえたうえで,妥当性な結論を模索する。 つぎに,前年度の研究成果である取材源秘匿権の最新の判例および学説を考察した論文を本務校の研究紀要「海保大研究報告」において,公表する。なお,取材源秘匿権に関する最新の日本法およびアメリカ法の判例および学説の調査,そして検討を並行して進める。 また,アメリカ法における取材源秘匿権について多数の論文を執筆する Anthony Fargo 教授(インディアナ大学〔アメリカ〕)に対してインタビュー取材および討議する時間をもち,アメリカ法における取材源秘匿権の最新の動向を調査する。併せて,インディアナ大学において,取材源秘匿権に関する資料を収集する。
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