2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530137
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小田川 大典 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (60284056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安武 真隆 関西大学, 政経学部, 教授 (00284472)
太田 義器 摂南大学, 外国語学部, 教授 (10277858)
犬塚 元 東北大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (30313224)
遠藤 泰弘 松山大学, 法学部, 教授 (30374177)
石川 敬史 東京理科大学, 基礎工学部, 講師 (40374178)
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Keywords | 政治学 / 思想史 / 代表制 / 二院制 / 連邦制 / 国民国家 / デモクラシー / 立憲主義 |
Research Abstract |
平成25(2013)年度は、研究計画に記した三つの軸のうち、主に「(a)政治理論における制度論:理論的考察」と「(b)政治思想史における制度論:系譜学的考察」に取り組み、研究会の企画・運営、研究論文の執筆、メーリングリストによる研究情報の交換などを行なった。 具体的な成果としては、まず研究会関連では、政治思想学会(慶應義塾大学、5月26日)で犬塚が研究報告「大震災後の政治と政治学」を、日本政治学会(北海学園大学、9月15日)で小田川が分科会「代表制の政治思想」の企画と司会を、社会思想史学会(関西学院大学、10月26日)では小田川がシンポジウム「社会思想としての科学:合理性と正統性」および分科会「デモクラシー論の現在」の企画と司会を、遠藤が研究報告「フーゴー・プロイスの国際秩序観:直接公選大統領構想の思想的前提」を行なった。またそれ以外にも、石川が研究報告「ジョン・アダムズの政治思想における王政と共和政」(政治思想史研究会、成蹊大学、6月29日)を、遠藤が招待講演「フーゴー・プロイスの国際秩序観:直接公選大統領制構想の思想的前提」(慶應義塾大学大学院講演会、慶應義塾大学、11月7日)を行なっている。 次に研究論文としては、遠藤「フーゴー・プロイスの国際秩序観:直接公選大統領制構想の思想的前提」(『政治思想研究』14号、2014年)、安武「主権国家と黙示録:危機と政治変動としての宗教戦争」(『年報政治学 2013-II』、2014年)のほか、小田川、太田、安武、犬塚、石川が現在刊行中の『岩波講座 政治哲学』に論文を寄稿した。犬塚は同講座第二巻の編者をつとめるとともに、石川らと共に訳書J・G・A・ポーコック『島々の発見:「新しいブリテン史」と政治思想』(名古屋大学出版会、2013年)を刊行した。また太田は編者・共著者として『「政治哲学」のために』(行路社、2014年)を刊行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、政治思想史研究と政治理論研究の対話を通じて新たな制度論のパースペクティヴを提示すべく、(1)グロティウス、モンテスキュー、ヒューム、バーク、アダムズ、ミル、ギールケといった古典的政治思想家の制度論の解読を行ないながら、代表制、政党制、二院制、連邦制、国際制度など、様々な制度をめぐる議論の歴史と現状について、(2)系譜学的な観点からの比較研究と、(3)理論的考察を行うことを目的としている。 平成25(2013)年度を振り返るならば、(1)については、前述の通り、小田川、太田、安武、犬塚、石川、遠藤はそれぞれ研究論文を執筆している。また前述の研究報告に加え、犬塚「混合政体」(古賀敬太編『政治概念の歴史的展開 第6巻』晃洋書房、2013年)や、石川「書評:デイヴィッド・D・ホール(大西直樹訳)『改革を目指すピューリタンたち――ニューイングランドにおけるピューリタニズムと公的生活の変貌』(彩流社、2012年)」(『年報政治学 2013‐I号 特集「宗教と政治」』、2013年)、同「書評:田中秀夫『アメリカ啓蒙の群像―スコットランド啓蒙の影の下で 1723-1801』(名古屋大学出版会、2012年)」(『社会思想史研究』37号、2013年)も大きな貢献といえよう。また、(2)、(3)についても、前述の通り、小田川が日本政治学会において企画・運営した「代表制の政治思想」分科会を大きな成果のひとつとすることができよう。 以上の具体的な成果を踏まえるならば、本研究の交付申請書に記載した「研究の目的」の達成度については「(2)おおむね順調に進展している」と評価すべきだと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26(2014)年度も引き続き、研究計画に記した三つの軸のうち、主に(a)「政治理論における制度論――理論的考察」と(b)「政治思想史における制度論――系譜学的考察」に取り組み、研究会の企画・運営、研究論文の執筆、メーリングリストによる研究情報の交換などを行なっていく予定であるが、前年度までの成果を踏まえつつ、2014年度は特に次の二つの企画を予定している。 ひとつは小田川と安武が企画委員として関わっている政治思想学会(関西大学、5月24・25日)での二つのシンポジウムである。第一シンポジウムでは、国家の規範理論を様々な観点から考察し、第二シンポジウムでは、国民国家を相対化する新たな政治空間として構想された、いわゆる「圏域」論をとりあげる。これらのシンポジウムはもちろん学会として行なうものであるが、本共同研究のメンバー二人がその企画と運営に関わることは、本共同研究にとって得るところ大であり、またごくわずかではあれ、学会に対する貢献にもなるのではないかと期待している。 もうひとつは小田川が企画委員として関わっている日本政治学会(早稲田大学、10月11・12日)での二つの分科会――「政治家育成と政治学」と「災厄の政治学」――である。政治家の育成も災厄への対応もまさに現代の日本政治が取り組まなければならない喫緊の課題であるが、実はどちらも制度の政治思想と密接に関連している。また、こうした分科会は、制度の問題について、思想史研究者が他の政治学の分野の専門家と対話し、知見を交換する絶好の機会となるであろう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
所属機関で調整を行い、次年度への繰り越しを行なった研究分担者がいたため。 本共同研究は、文献資料を中心に進められるため「近代政治思想史における制度論の諸相」に関する研究図書や雑誌等資料(データベースを含む)とデータを分析するための情報機器を購入するための物品費が必要となる。また、本共同研究は、メンバーの所属先が岡山、大阪、宮城、北海道、愛媛と全国に散らばっており、研究を継続的に継続していくためには、研究会開催のための旅費を確保した上で研究組織を中長期的に維持していく必要がある。 次年度使用額についても、基本的には上記の方針に沿って、適正な執行を行なう。
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Research Products
(11 results)