2014 Fiscal Year Research-status Report
公共政策決定過程における「やらせ」の発生要因の研究
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24530161
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
宮脇 昇 立命館大学, 政策科学部, 教授 (50289336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 隆司 立命館大学, 政策科学部, 教授 (10150765)
横田 匡紀 東京理科大学, 理工学部, 講師 (20400715)
清水 直樹 高知短期大学, 社会科学科, 准教授 (20508725)
西出 崇 立命館大学, 政策科学部, その他 (30513171) [Withdrawn]
後藤 玲子 一橋大学, 経済研究所, 教授 (70272771)
藤井 禎介 立命館大学, 政策科学部, 准教授 (70350931)
玉井 雅隆 立命館大学, 政策科学部, 非常勤講師 (60707462)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | やらせ / 数値目標 / 政策金融 / 政策の歪み / 公共政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、「やらせ」の公共政策過程を分析するために設定した2つのの仮説うち、とりわけ「組織・体制モデル」について検証を進めた。気候変動政策における公約の衰退については、分担者の横田教授が日本や各国のCO2排出量を減らす数値目標が当初過大に設定され、その後、国内政治過程の変動をへて一定の値まで減じてきた過程を分析した。また同じく分担者の清水教授は、クライエンタリズムにもとづく利益誘導が 行われてきたことを、 都道府県別 政府系金融機関のデータ を分析 すること することによって実証した。 これらの研究を中心に代表者・分担者・協力者で研究会を開催し、また10月の政治学会の分科会において他の会員とともに学術的な議論の熟成を狙った。その結果、これらの政策が利益誘導の手段して有効であるともに、政策の「ゆがみ」がどの程度現れるかによって、公共政策における「やらせ」の発生を客観的に分析する1つの指標たりうるのではないかという知見に到達した。ただし今回主として例示した2つの研究は目標の数値化が可能なものであり、数値化が困難な政策目標の場合についての課題は残っている。 さらにこの点は、過年度において分析した第1モデルとの交差を示唆するものである。争点によって「やらせ」の発生や露見が変動するとするならば、関連する組織や体制はどのように対応するのであろうか。第2モデルと第1モデルの融合と矛盾を明らかにする蔡に重要なキーワードとなるのが「政策の目標」と「ゆがみ」である。この両者の差を合理性をもって説明できるか否かによって「やらせ」の説明が可能となるのではないかという見解に至っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に即して仮説の検証がほぼ終わっているため、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度において、情報の非対称性・不完備性により自己の利益に最適戦略を選ぶ能力(交渉力)に当事者間で相違があることに着目して「公共的相互性」の概念を用いて上記の事例を再検討し、「やらせ」の過程分析の理論化を進める。理論化に際しては、新しい意思決定過程論の構築で研究・教育業績の豊富な近藤敦氏(研究協力者:立命館大学講師)の協力を得てシミュレーション方法による過程再現等を行い、「やらせ」を演出しやすい環境の形成要因を分析し、「やらせ」研究を公共政策論の体系として理論的に提示する。また研究成果を出版社の協力を得て研究成果を共著形式で発行する。
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Causes of Carryover |
第二仮説についての研究が予想以上に進展し、出版の打ち合わせを含めた共同作業を進めたため、予算上の措置を必要とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
出版計画を大きな成果発表の機会ととらえ、研究の高度化を進めるため、打ち合わせ、研究の組織化、関連書籍の購入等を進める。
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Research Products
(7 results)