2014 Fiscal Year Research-status Report
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24530197
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
芦谷 政浩 神戸大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (10304057)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 裁定取引 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、公営賭博市場における裁定取引の実行可能性を検証することである。具体的には、馬券市場における「単勝1番」と「連勝単式の1番からの流し(=1番の馬を1着、他の馬を2着に指定した連勝単式馬券を、1-2, 1-3, 1-4, ...と全ての組み合わせについて購入すること:購入比率を調整すれば単勝1番の馬券を複製できる)」の間での裁定取引を考えた。その結果、2011年9月30日から2011年12月23日までの荒尾競馬において、全175レース中2レースで、「馬券購入の最小単位」と「裁定取引実行によるオッズの変化」を考慮した後でも裁定取引の生じる余地があったことを発見した。これは当該分野において画期的な発見であり、分析結果はAshiya, M. (2015) "Lock! Risk-Free Arbitrage in the Japanese Racetrack Betting Market." Journal of Sports Economics, 16(3), April, pp.322-330.として査読付き学術雑誌に掲載された。但し、この論文で示したことは、「単勝、連勝単式、三連勝単式などの最終オッズには、裁定取引が可能なほど歪みがあった」ということである。言い換えると、「馬券購入締め切り後に、自分だけが新たに馬券を購入できたのであれば、確実に利益を上げる機会があった」ということを示したのみである。現実に裁定取引を実行するには、「皆の後から馬券を買う」のではなく「皆と一緒に(締め切り時間前に)馬券を買う」必要があるので、「各馬券の最終的な売り上げ枚数を正確には知ることができない」というリスクが残る。このため、上記論文で示したことは、あくまでも「裁定取引の実行可能性は否定されなかった」ということであり、「リスクゼロで利益を得る機会を発見した」訳ではない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
先行研究では、「馬券購入の最小単位」も「裁定取引実行によるオッズの変化」も無視すれば、公営賭博市場において裁定取引を実行する余地があることが示されていた。これに対して、本研究課題では、上記2要因を考慮しても裁定取引が可能であるのかを検証している。このため、分析には、全種類の馬券(12頭立てレースだと1620種類)の売り上げデータを最終オッズから復元する作業が必要になる。このことから、意味のある分析結果が得られるのは最終年度になるであろうと覚悟していたが、幸いにも第3年度のうちに上述のAshiya (2015) Journal of Sports Economics, 16(3), 322-330.を一流雑誌へ掲載することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
Ashiya (2015) Journal of Sports Economics, 16(3), 322-330.では荒尾競馬において裁定取引が実行可能であったことを示せたので、最終年度である平成27年度では、他の競馬場でも同様の状況が出現しているのかを検証していきたい。
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Causes of Carryover |
交付決定額4,160,000円、うち既受領額累計3,120,000円、うち支出額累計3,119,192円であり、平成26年度の終了時点で未使用予算残額は808円であった。これは限りなくゼロに近い金額であり、適切な計画に基づいて予算執行した成果である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度からの予算繰り越しが808円あるものの、当初予定に従った予算執行が可能であると考えている。
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Research Products
(1 results)