2012 Fiscal Year Research-status Report
18-19世紀転換期における経済学のイングランドへの転位─ケンブリッジを中心に
Project/Area Number |
24530219
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kaetsu University |
Principal Investigator |
久保 真 嘉悦大学, 経営経済学部, 准教授 (30276399)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ケンブリッジ / 古典派経済学 / 道徳哲学 / 道徳科学 |
Research Abstract |
18世紀から19世紀にかけてのケンブリッジ大学における経済学の有り様を探る本研究の初年度として、主に二つのものを対象として研究を行った。 ひとつは、18世紀ケンブリッジで行われた道徳哲学講義における経済に関する言説である。具体的な史料としては、ケンブリッジ大学のシドニーサセックスカレッジに所蔵されている、ジョン・ヘイ(John Hey)の講義録を分析の対象とした。従来の思想史研究において、この講義録がほとんど取り上げられることはないままに、ヘイはペイリーやワトソンらの同時代人たちと十把一絡げに取り扱われてきた。上記の講義録はそうした従来のイメージを大きく塗り替える可能性のある史料であり、また実際、例えばペイリーの経済論とは人口の取り扱い方などで、大きく異なるものであることが判明した。 もうひとつは、19世紀ケンブリッジで行われた道徳科学トライポスに包摂されるものとしての経済学講義である。具体的には、慶應義塾大学三田図書館に所蔵されている、ジョージ・プライム(George Pryme)の講義録を分析の対象とした。管見の限り、本史料は従来の研究ではまったく知られることのなかった新史料であり、また分析の結果、リカードウやミルなどの古典派経済学の祖述を超えた興味深い内容を含むものであった(この分析結果は、'The Figure of Ricardo in Mid-Nineteenth-Century Cambridge'として、 International Ricardo Conference "After Ricardo," 2012年9月3日, 明治大学において口頭報告)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画遂行がやや遅れていると評価する。 所期の計画では、当該年度(2月)にイギリスでの資料調査旅行を行う予定であったが、研究代表者の所属研究機関移籍に伴う繁忙のため、実施できなかった。このことを最大の理由として、研究計画遂行がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度(2013年度)に予定していたが実施できなかったイギリスでの資料調査旅行を補うべく、マイクロフィルムなどの媒体で史料を購入するよう、研究計画を若干修正する。 これらの史料の分析結果は、初年度に得られた分析結果と併せて、国内外の学会で発表する予定である。2013年には、北米経済学史学会にてこれを行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
以下の費目に使用することを計画している。 1) 物品費(マイクロフィルム等史料)¥450,000 2) 旅費(北米経済学史学会での研究報告)¥350,000 3) 謝金(英文校閲)¥200,000 4) その他(印刷費・複写費等)46,687
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