2013 Fiscal Year Research-status Report
ケインズーベヴァリッジ体制の起源と現代性:半自治組織による効率と公平
Project/Area Number |
24530220
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
小峯 敦 龍谷大学, 経済学部, 教授 (00262387)
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Keywords | 国際研究者交流 / ケインズ / ベヴァリッジ / 半自治組織 / 経済学カリキュラム |
Research Abstract |
本研究の究極的な目的は、ケインズやベヴァリッジの経済思想を考察しながら、「公共目的と経済的効率性を両立させる体制(ケインズの呼ぶ「半自治組織」)を考究することであう。「福祉国家の合意」「資本主義の黄金時代」と呼ばれた体制や思想はどこから始まり、いつ終わり、そして現代にも意味があるのだろうか。これが申請者の根源的な問題意識である。 平成25年度は上記の意識に基づき、具体的には次のような研究を実施した。(1)2014年2月にLSEおよびケンブリッジ大学に赴き、それぞれの経済学カリキュラムの進展を調べた。特にLSEにおいては、『学報』に相当する定期刊行物を発見し、大学の許可を取ってデジタル撮影を大量に行った。今後の資料解析に役立つ作業となった。(2)アメリカ経済思想史学会HESその他の国際会議に赴き、数度の英語発表を行った。その中で、欧米の優れた研究者と知己を得て、そのうち何人かを日本に招聘する可能性が出てきた。その他、経済学史学会およびケインズ学会の全国大会で報告を果たした。 成果物としては、西沢保・小峯敦 編『創生期の厚生経済学と福祉国家─ケンブリッジ学派の経済思想』ミネルヴァ書房、2013.8、372ページ、および小峯敦「ベヴァリッジ─自由を実現する統制的な手段」(第21章)、室田保夫編『人物でよむ西洋社会福祉のあゆみ』ミネルヴァ書房、2013.10、pp.176-182、小峯敦「『ベヴァリッジ報告』(1942)と『雇用政策』白書(1944)─戦後構想(社会保障と完全雇用)における経済助言活動の役割」『経済学論集』(龍谷大学経済学部)、53巻1/2号、37-98、2014.2が代表例である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の最大の成果は、2014年2月にLSEおよびケンブリッジ大学に赴き、それぞれの経済学カリキュラムの進展を調べたことである。特にLSEにおいては、『学報』に相当する定期刊行物を発見し、大学の許可を取ってデジタル撮影を行い、今後の研究の基礎データとなる貴重な資料を得ることができた。 また、成果としても学会報告、論文、編著、単著などの様々なレベルで、着実に発信している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、当初の予定を全体としては変更せず、ただしその対象をややケンブリッジ大学からLSEに変更する。その理由は、ケンブリッジ大学における経済学カリキュラムの考察が一段落し、次にベヴァリッジが学長として力を持ったLSEにおける経済学カリキュラムの変遷との比較が必要なためである。 ケンブリッジ大学では既に『大学学報』のデータ収集は終え、次にLSEにある同様の公的書物を精査する予定である。
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Research Products
(8 results)