2014 Fiscal Year Research-status Report
ケインズーベヴァリッジ体制の起源と現代性:半自治組織による効率と公平
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24530220
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
小峯 敦 龍谷大学, 経済学部, 教授 (00262387)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 / ケインズ / ベヴァリッジ / 半自治組織 / 経済学カリキュラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の究極的な目的は、ケインズやベヴァリッジの経済思想を考察しながら、「公共目的と経済的効率性を両立させる体制(ケインズの呼ぶ「半自治組織」)を考究することである。「福祉国家の合意」「資本主義の黄金時代」と呼ばれた体制や思想はどこから始まり、いつ終わり、そして現代にも意味があるだろうか。これが申請者の根源的な問題意識である。 平成26年度は上記の問題意識に基づき、具体的には次のような研究を実施した。(1)2015年3月のロンドンの公文書館(The National Archives)に赴き、主に戦間期の経済学者の平和構想や戦争との関わりを示す文書を収集し、デジタル撮影した。(2)同じ時期に、London School of Economicsの文書館に赴き、ケインズやベヴァリッジが活躍した王立経済学会の議事録を発掘した。そのいくつかをデジタル撮影した。(3)前年度に収集した資料に基づいて、2014年5月にヨーロッパ経済思想史学会Eshet(ローザンヌ大学)において「ベヴァリッジと理想とする経済学の追究:なぜ彼はケインズの思想を受け入れたのか」を発表した。(4)2014年12月に大阪府立大学において、「ケインズとベヴァリッジ~福祉国家の理念誕生」という招待講演を行った。 成果物としては、長年の研究の成果として、英語で単著を出版したことが最大である。Atsushi KOMINE, Keynes and his Contemporaries: Tradition and Enterprise in the Cambridge School of Economics, Abingdon, Oxon, UK: Routledge, May 2014, pp.190.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の最大の成果は、Atsushi KOMINE, Keynes and his Contemporaries: Tradition and Enterprise in the Cambridge School of Economics, Abingdon, Oxon, UK: Routledge, May 2014, pp.190. を出版したことにある。
その他、海外での報告、海外での史料収集も、予定通り行った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、最終年度として、全体をまとめる構想を持つ。対象をケンブリッジ大学からLSEに軸足を移しつつ、ケインズおよびベヴァリッジが活躍した時期において、経済学がどのように発展したか、その中で彼らが理想とする体制をどのように構想したかについて、多くの史料を発掘しながら、まとまった思想として提示する。
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Causes of Carryover |
校務のため、イギリスでの滞在期間を数日、短縮せざるを得なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は十分な滞在期間を確保できる見込みがあるため、前年度で積み残した部分を使用できる。
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Research Products
(4 results)