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2012 Fiscal Year Research-status Report

チーム生産状況における報酬制度の選択―マルチタスク下の成果主義の調査と実験

Research Project

Project/Area Number 24530247
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

菊谷 達弥  京都大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (80183789)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 西村 直子  信州大学, 経済学部, 教授 (30218200)
小川 一仁  関西大学, 社会学部, 准教授 (50405487)
齋藤 隆志  九州国際大学, 経済学部, 准教授 (60437283)
Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Keywords報酬制度 / チーム生産 / 成果主義 / マルチタスク / 経済実験
Research Abstract

実験によって検証する2つの理論モデルを構築し、経済実験に着手した。理論モデル1においては、2人の労働者プレイヤーがチーム生産する状況を考える。労働者プレイヤーは、個人で行うタスクと、他のプレイヤーを助けるタスクの2つのタスクを有し(マルチタスク)、限られた労働資源をどのように2つのタスクに振り分けるかを考える。プレイヤーへの報酬は、チームとして挙げた成果に連動するが、報酬制度として、成果を平等に分けるケースと、個人で行うタスクへの労働投入量に比例して分けるケースの2種類を考える。理論モデル2では、理論モデル1を拡張し、経営者プレイヤーを新たに導入する。経営者プレイヤーは第1ステージであらかじめ労働分配率を決め、第2ステージでは、この分配率のもとで、労働者プレイヤーが理論モデル1と同様の選択を行うというものである。
平成24年度は、これらの2つのモデルについて、プレイヤーが合理的に行動すると仮定した場合の理論的な最適解が確認できるか、異なるとすればどのように異なるのかを検証するために、信州大学と関西大学で経済実験を実施した。信州大学(西村直子が主担当)では平成24年7月に60名の参加を得て、関西大学 (小川一仁が主担当)では平成25年1月および3月に各60名の参加を得て行った。実験においては、プレイヤーをランダムに変えた場合と、固定した場合の、2ケースを実施した。
現在、得られた実験データを分析中であるが、これまでのところでは、最適解の行動と概ね一致する結果が得られている。ただし、一部では最適行動から外れた選択も見られた。特に理論モデル2で、経営者プレイヤーは、ほとんどの場合、最適行動よりも利己的な選択、すなわち、より低い労働分配率を選んでいた。こういった、理論予想から乖離した結果については、更なる分析が必要である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

理論モデルを検証する経済実験は、これまでに、計画していた諸実験の核となる部分を実施することができた。今後は、得られたデータを精査しながら、理論モデルから帰結する多数の命題の検証を行う必要があるが、これによって、そのための多くのデータを収集することができた。また、これから理論モデルおよび実験を拡張していくが、そのための基礎となるデータを得ることができた。
他方、予定していた組合員労働者に対するアンケート調査については、調査項目の検討にとどまり、実施までに至らなかった。これは、対応させる経済実験からの知見が確定していないこと、実施の協力を得る社団法人国際経済労働研究所との調整が、調査項目が定まらないと進められないこと、などが理由である。

Strategy for Future Research Activity

本実験では、労働者プレイヤーのタスクは2種類あり、各タスクへの労働投入量の決定が、経営者プレイヤーの選ぶ労働分配率ごとになされるために、組み合わせの「場合の数」が多い。この多さにしたがって検証すべき命題も多いが、その検証の際には、各場合のデータ数が十分に確保されている必要がある。本年度は、まず、平成24年度の実験結果を精査して有意義な命題を確定し、それを検証するために、各場合のデータ数が十分かどうかを確認する。少ないと判断される場合、次年度の前期に、集中的に、関西大学で追加データを収集する(耐震補強工事の影響で信州大学の実験室が本年度使用できないため)。
次年度後半は、さらにモデルと実験を拡張する。先に述べたように、理論モデル1および2を通じて、労働者プレイヤーへの報酬制度には、成果を平等に定率で分ける場合と、労働者プレイヤーの個人で行うタスクへの労働投入量に比例して支払う場合の2つのバリエーションがある。そこで理論モデル2をさらに拡張し、第1ステージで経営者プレイヤーが、労働分配率と報酬制度を同時に選択する、というモデルに変更する。この拡張によって、制度の内生的選択という、制度派経済学におけるホットトピックと、人事経済学の間の架橋ができると考えている。
さらに、社団法人国際経済労働研究所の協力が得られれば、組合員労働者にアンケートを実施し、成果主義的賃金が労働者の行動にどのような影響を与えているかを調査する。そして実験で得られた知見がどのように妥当するかを検証する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

実験参加者への謝金、実験補助アルバイトへの報酬が費用の多くを占める。これまで、実験が比較的順調に進んだために、実験のための支出を抑制することができた。また、社団法人国際経済労働研究所の協力が得られれば、組合員労働者にアンケートを実施する予定であったが、そのための準備に手間取ったために、アンケート調査の実施が遅れることになった。
次年度は、実験については、これまでの実験結果を基礎に、これをさらに発展させた実験を予定している。アンケート調査については、組合員労働者個人へのアンケートを、社団法人国際経済労働研究所の協力を得て行う予定である。また、研究プロジェクトメンバーが東京、松本、京都、大阪と散らばっているため、 研究会や打ち合わせを開催するための旅費が必要となる。その他、実験実施に関する消耗品を購入する。

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Published: 2014-07-24  

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