2013 Fiscal Year Research-status Report
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24530263
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
武田 史郎 京都産業大学, 経済学部, 教授 (00364688)
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Keywords | 応用一般均衡分析 / 温暖化対策 |
Research Abstract |
現在、地球温暖化対策が重要な政策課題と認識されるようになり、世界各国で温暖化対策の導入が進みつつある。日本も2020年までの削減目標を設定し、温暖化対策の導入を検討している。しかし、日本では温暖化対策の経済的影響を定量的に分析するという研究が非常に少ない。 本研究は、応用一般均衡モデル(CGEモデル)を用いたシミュレーションによって、今後導入が検討されている温暖化対策の経済的影響を定量的に分析するという研究である。特に今年度は、1 不完全競争、規模の経済性を考慮したCGEモデルによる温暖化対策の分析、2 排出量取引制度の分析に取り組んだ。 1については昨年度において既にモデルを作成し、シミュレーションをおこなったが、今年度ではさらにモデルの拡張を試みた。具体的には、近年、理論分析において利用が増えている企業の異質性を考慮したモデル(いわゆるMelitzモデル)の要素をモデルに導入する作業に取り組んだ。モデルを変更したことで、新しいデータが必要になった。まだそのデータを作成できていないため、現在は試行的なシミュレーションをおこなっている段階である。 2については、Takeda et al. (2013)や有村・武田(2012)において排出量取引制度の分析のために利用されていたモデルを改良した。具体的には次のような改良をおこなった。まず、ベンチマークデータをより新しいデータにアップデートした。ベンチマークデータにはGTAPデータを利用しているが、電力部門を細分化したデータを利用するようにした。モデルを5年1期間の動学モデルに変更し、2030年までを分析できるようにした。以上のような改良をおこなった上で、現在排出量取引の効果を分析しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初考えていた政策シミュレーションをおこなうところまではいかず、現時点では試行的なシミュレーションをするにとどまっている。作業が遅れた理由は、モデルの構築、データの作成に時間がかかってしまったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はまず25年度に達成できなかった作業を終了させる。不完全競争CGEモデルの構築、及びデータの作成を終わらせ、様々な不完全競争モデルの比較をおこなうという作業をおこなう。また、排出量取引の政策シミュレーションをおこなう。排出量取引制度といっても、排出権の初期配分方法、排出量取引の対象部門、海外との取引の有無など、多様なパターンがありうる。こういった多様なパターンによって、同じだけの削減を実現する際の、経済的影響(GDP、国民所得、生産、貿易等への影響)がどのように変化するかを定量的に分析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度にソフトウェアの更新費用として利用する計画であったが、更新費用の支払期限が予定よりも伸びたため、来年度に支出することが可能になった。早めに更新してしまうと年度途中に再び更新期限が来てしまうため、来年度に支出することに変更した。 現在利用しているGAMSという数値計算ソフトウェアの更新の費用として利用する予定である。
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