2014 Fiscal Year Annual Research Report
中国の新区や都市圏による内陸開発は有効か?-小地域産業連関モデルからのアプローチ
Project/Area Number |
24530268
|
Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
岡本 信広 大東文化大学, 国際関係学部, 教授 (00433863)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
穆 尭芋 公益財団法人環日本海経済研究所(調査研究部), 調査研究部, 研究員 (00551417)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 中国 / 東北地域 / 重工業 / 国有企業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は中国東北三省(遼寧,吉林,黒竜江)の都市化について調査を実施した。主に各省の社会科学院や当地の大学の専門家と意見交換を行なうとともに,東北地域は旧工業地域であるので,鞍山鋼鉄(鞍山市),大慶油田(大慶市)を訪問,当地の都市化について調査を行なった。中国東北三省では,計画経済時代に重点工業地域として重工業化を実施し,それにより都市化が進展した。しかし改革開放以降は重工業の大型国有企業を抱える結果,その改革が重荷になり都市化の進捗が遅れた。とくに重工業は資本集約型であるために労働力の吸収力は小さい。それに加えて国有企業改革は多くの一時帰休者を生んだため,他産業における雇用吸収が必要となった。重工業地域として全国でも有名な瀋陽・鉄西区は重工業地帯を外資や土地売買によって資金を調達し,商業都市に生まれ変わることができた。しかし郊外に移転された重工業の問題はいまだ問題となっている。鞍山鋼鉄や大慶油田(中国石油)は,国家に保護された独占力を活かし今のところとりあえず利潤を生んでいる。しかし鉄鉱石や石油という資源に多くを頼っているために,資源採掘のコストが高くなると利潤を生まない。とくに鞍山鋼鉄は他の産業への進出をしておらず今後資源枯渇に直面すると産業構造の転換は難しくなる。大慶油田は石油の産出量は減少していたがここ数年は安定している。これは内モンゴル地域へ採掘場所を拡大しているためである。 東北地域,とくに遼寧省は全国的にも都市化が進んだ地域であり,都市化の恩恵は重工業構造転換と国有企業改革に依存している。
|