2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24530271
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Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
松川 勇 武蔵大学, 経済学部, 教授 (50287851)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 環境経済学 / 排出権市場 / 市場支配力 / 双方寡占 |
Outline of Annual Research Achievements |
初めに平成24年度では、双方寡占モデルを用いた市場取引の分析事例として、環境汚染物質の排出権取引および卸電力取引を取り上げ、文献調査をもとに経済理論の特徴と問題点を明らかにした。また、排出権市場と卸電力市場を例にして、取引者の生産構造が市場支配力に及ぼす影響を分析した。 次に、平成25年度では、実験経済学の手法をもとに排出権市場を想定した双方寡占の理論モデルの検証を行った。具体的には、あらかじめ汚染物質の排出を抑制するのに必要な費用に関していくつかのパターンを想定し被験者が排出権の売手あるいは買手になるように想定した。その結果、①限界除去費用関数の傾きが小さいほど市場支配力が高まる、②限界除去費用関数の傾きがすべての取引者で同一の場合、均衡価格は完全競争の水準と一致する、③排出枠の初期配分に応じて市場支配力が変化する、の3点が明らかになった。いずれの結果も双方寡占の理論モデルと整合しており、理論モデルの妥当性が示された。 最後に、平成26年度では、排出権市場を対象とした双方寡占のモデルとして、Lange(2012)の非競争均衡モデル、Wirl(2009)の数量入札モデル、Malueg and Yates(2009)の供給関数均衡モデルをそれぞれ取り上げ、理論上の特徴を明らかにするとともに、シミュレーション分析によってモデルの妥当性を検証した。その結果、数量入札モデルにおいて市場支配力の影響が大きく評価される点が明らかになった。本研究において取り上げる双方寡占モデルは、排出権市場に限らず、様々な分野に幅広く適用する可能性を有しており、市場支配力に伴う非効率な取引を防止するための政策の分析に貢献することが期待される。
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Research Products
(2 results)