2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24530293
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
塩路 悦朗 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (50301180)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 経済政策 / 財政政策 / 時系列分析 / 予想形成 / 株式市場 / ニュース分析 / 災害 / マクロ経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は公共投資の経済効果の分析が最終段階に入り、研究成果に大きな進展を見た。すでに平成26年度中に着手していた、建設業各社の株価から将来の公共投資に対する人々の予想の変化に関する情報を抽出する研究(森田裕史氏との共同)は手法の改良を重ねて大幅に内容が改善した。特に重要な成果としては、大規模災害の発生直後に公共投資の将来支出に対する予想が大きく変わること、この事実を考慮しないと政策効果は正しく測定できないことが明らかになった。同研究は広く注目を集め、神戸大学にて招待講演を行ったほか、コロンビア大学(米国)の伝統ある日本経済セミナーでも報告の機会に恵まれた。これらの機会に研究者から得た多くの助言をもとに改訂稿を作成中であり、近日中に学術誌に投稿する。また、改善された新たな財政政策指標の構築を進めており、これも近日中に新たな論文としてまとめる。さらに、多くの研究者からの勧めにより、同様の手法を公共投資以外の財政政策(特に消費税などの租税政策)に拡張する作業に着手した。同研究は昭和50年頃からの膨大な文献や新聞記事の分析を要するものであるが、幸いにも本補助金によって大学院生のアシスタントを雇用することができたので、研究は大幅な進展を見た。このほか、本研究から派生した関連研究にも大きな成果があった。第1に、本研究で習得した時変係数ベクトル自己回帰モデルの手法を為替レートと国内物価の関係に応用した研究をいくつかの国際学会で報告すると同時に国際的学術誌に投稿し、現在、改訂稿の審査結果待ちである。第2に、同手法を用いてマネタリーベースとマネーストックの間の関係を分析し、その研究成果の一端を国内の雑誌で公表した。さらに詳細な結果は日本経済学会2015年度春季大会の招待講演で報告する予定である。第3に、日本の産業構造の変化と労働移動の関係に関する研究成果をJapan Labor Reviewにて公表した。
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Research Products
(12 results)