2012 Fiscal Year Research-status Report
夫・妻が抱える精神的・肉体的負担への支援策が出生数に及ぼす影響の推定
Project/Area Number |
24530312
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Heisei International University |
Principal Investigator |
佐藤 晴彦 平成国際大学, 法学部, 准教授 (90406588)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新島 一彦 平成国際大学, 法学部, 教授 (30383342)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 出産意図 / 出産意図の分類化 / 心理的な負担軽減 / 政府支援 / 子供を持つ価値観 |
Research Abstract |
『子供を持つために何が必要か、そして求められている支援とは?』(2012)、アートヴィレッジ、を執筆した。その内容は、夫婦が出産意図を現実的には持てないような状況が多くある中で、そのような諸状況に対する支援がある場合、支援の方向性を効果的にするため有効性のある支援策を検証したものである。アンケート調査による計量分析の結果として、夫の家事(育児)協力、妻の精神的・肉体的負担の軽減に関しては、支援は有意に期待される。世帯収入では、出産・子育て費用に見合うだけ現実的に得られるようにしなければならない。部屋数については、現実的に供給されなければ有意ではないという知見が得られた。白書(内閣府、2012・2013、『子供・子育て白書』)より、説明変数を加えて分析した結果、結婚することの価値観、ならびに夫婦間における価値観、子供を持つことの意味・価値観を構築し、心理的な負担軽減・肉体的負担の軽減に通じる教育を施していく必要性が生じている。 2012年度内に掲載が決定した「出産意図の分類化による政府支援の検証」『計画行政』 36巻2号(2013)では、出産意図の分類化に従がって、政府の対策が、出産意図のニーズに適合しているのかどうかを検証したものである。その結果、政府の支援にはかなりの偏りが見られた。政府による支援は行われているが、家計収入、子供を持つ価値観についてはある程度の評価は可能であるが、「保育者の存在」「スペース(部屋数)」「夫婦が共通する時間」「心理的負担」「結婚する時の価値観」「内面的な夫婦関係」に関しては、ニーズに合った再検討が求められており、その中の内面的要因に至ってはその意義を立てなければならない。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度計画は、a.精神的・肉体的負担を生じさせる要因ならびに要望を含む改善策を項目別にリストアップすること、b.それらを基にアンケートの計画を立て、c.全国の人口密集地、非密集地別にアンケート調査を行うことであった。 平成24年度の達成度は、これらをすべて行っただけではなく、政府の施策を検証した。「精神的・肉体的負担に関する調査」については、調査会社に委託(インターネットによるクローズド調査)して進めた。政府の施策については、出産意図に関わる諸要因(精神的・肉体的負担軽減策も含めて)についての施策は各々どの程度進められているのかを検証した。 前者の「精神的・肉体的負担に関する調査」は、「将来的にご自分が子供を(さらに)持つと考えたとき、どんな不安・ストレスがありますか」という問いで、夫婦が共有する時間、経済的負担の増加、就業の不安定、心理的負担、肉体的負担(出産年齢・子供を持つ年齢によるものも含む)等13項目から質問した(総回答数は1,488)。 後者の政府の出産意図に関わる要因についての施策検証の結果、政府の支援にはかなりの偏りが見られた。政府による支援は行われている。しかし、家計収入、子供を持つ価値観についてはある程度の評価は可能であるが、「保育者の存在」「スペース(部屋数)」「夫婦が共通する時間」「心理的負担」「結婚する時の価値観」「内面的な夫婦関係」に関しては、ニーズに合った再検討が求められており、その中の内面的要因に至ってはその意義を立てなければならない。
|
Strategy for Future Research Activity |
「精神的・肉体的負担に関する調査」結果より、人口密集地・被密集地別に、男女別、年齢階級別、職業別等の観点から、各説明変数の負担軽減、どのように望んでいるのか、ひいては被説明変数となる出産意図とどう関係があるのかを計量分析によって(ソフト:stataを利用)、導き出す。さらに、限界効果分析によって、出産意図の一環としての負担軽減のための、諸説明変数の負担軽減の順序、各説明変数内の選択肢による負担軽減の順序を導き出す。 政府の出産意図に関わる要因(精神的・肉体的負担軽減策も含めて)の施策検証結果については、2013年9月8日、日本家族社会学会で報告する予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
回帰分析は以下の流れで行う。単純集計表、記述統計量、クロス集計表、多重共線性のチェック(相関行列)、順序ロジット分析、限界効果分析の順である(単純集計・整理は佐藤《晴》,新島、その他は佐藤《晴》)。そして順序ロジットと限界効果分析より有意な変数の特定とそれらの順位を求める(分析,佐藤《晴》)(計量ソフト「STaTa」200千円)。なお、順序ロジット分析で有意となるが限界効果分析では有意とならず順位を求めることができない要因がある。 この分析結果を評価できるかどうか話し合う。評価できない場合、アンケート調査票作成段階からやり直す。(この場合、もともとの25年度予定のアンケート調査は行わないとする)。(佐藤《晴》,新島, 佐藤《笙》)。 評価できる場合、研究の成果について論文作成し(佐藤《晴》,新島,20千円)、学会で発表する(佐藤《晴》,新島)。データ・情報の保存・交換、学会発表時の成果・資料の提供はUSBメモリー(佐藤《晴》,新島、20千円)をもって行う。 上記に続くアンケート調査を実行する。白書類、論文雑誌類(佐藤《晴》,新島、50千円)・学会参加(佐藤《晴》,新島, 佐藤《笙》,70千円)による新しい知見の習得を行うとともに、アンケート調査票作成を行い(佐藤《晴》,新島, 佐藤《笙》)(アルバイト代100千円)、アンケート調査を実施する(佐藤《晴》,660千円)。
|