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2012 Fiscal Year Research-status Report

「失われた20年」における生産性低迷と税・財政政策の有効性

Research Project

Project/Area Number 24530376
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research InstitutionKansai University

Principal Investigator

前川 聡子  関西大学, 経済学部, 教授 (40330120)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Keywords法人税制 / 財政政策 / 生産性
Research Abstract

研究の目的である「1990年代以降の企業の生産非効率と政策(特に税財政政策)との関係」を明らかにするため、政策投資銀行の『企業財務データバンク』を入手して、企業データを整理するとともに、それと平行して、本年度は、以下に説明する企業の研究開発投資と税制との関係についての実証分析を行った。
日本では2003年度以降、研究開発支援の一環として、試験研究に係る税額控除制度が大幅に変更されてきたが、果たして、税額控除の拡張は研究開発の促進に効果があるのだろうか。この間、税率の引き下げも行われてきたが、税率引き下げの影響はどうだったのだろうか。このような問題意識に基づき、研究開発支援政策として、法人税制における税額控除拡大と税率引き下げのどちらの方が効果的なのかについて、1980~2009年の資本金階級別のデータを用いて分析した。
その結果、税額控除は期待されるような効果を持たず、税率引き下げの方が研究開発増加に対して有意に影響を及ぼすこと、ただし、資本金100億円以上の巨大企業については、税率も税額控除も研究開発費に対して有意な影響を与えないことが明らかとなった。2003年度以降の試験研究費に係る税額控除制度の変更も、資本金10億円以上100億円未満の企業の研究開発費のみ、プラスで有意に効いているという結果も得られた。この結果については、2012年度の日本財政学会第69回大会(2012年10月28日)で報告を行った。
この分析によって、それまで明確には扱われてこなかった、資本金階級によって税制の影響が異なることを示すことができた。しかしながら、利用したデータは階級別に集計されたデータであるため、個別企業データと比較するとまだ限界がある。集計されたデータと同じ結果が個別データでも得られるのかどうか、分析をさらに拡張・発展させていくことが次の課題である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

遅れ気味になっている主要な理由は2つ。
(1)個別企業データの整理に時間がかかったため。
(2)企業の生産性を測る指標として、既存研究で用いられているTFP(全要素生産性)を使った生産性指標をそのまま利用するのでは無く、そこに独自の視点を盛り込んだ新たな指標にしたいと考え、その指標モデルを構築するのに時間がかかっているため。

Strategy for Future Research Activity

平成25年度前半(4~9月)は生産性の推計と非効率性の要因分析を行う。
4~6月にかけて遅れの出ている生産性の計測を終わらせ、その計測結果を利用しながら、7~9月にかけて生産性低迷(非効率)の要因分析を行う。分析結果は秋の財政学会か応用経済政策学会で報告を行う。10~3月は、生産性低迷と1990年代以降の経済財政政策(特に研究開発を支援するための租税措置や産業支援のための公的金融)がどのような関係にあったのかを明らかにするため、まずは、関連すると思われる1990年代以降の経済財政政策の具体的な内容をサーベイし、時系列での一覧表等の形で整理する。その上で、整理した政策の中から、企業の生産性と特に関連していると考えられる措置を取り上げ、果たして企業の生産性にプラスに寄与したのかマイナスに寄与したのか、マイナスに寄与したとすれば、何故・どのようなルートで生産性の足を引っ張ることになったのか明らかにする。
平成26年度前半(4~6月)は、上記の政策の影響についての分析を学会などで報告する準備を進める。7~9月は、研究に遅れが出ている場合はここで調整を行う。10月以降は、これまで行ってきた研究成果を学術雑誌(査読誌)に投稿し、査読結果を受けて修正を行う期間とする。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

平成24年度は、計画していたパソコン購入を見送ったため、研究費の繰越が生じてしまったが、次年度(平成25年度)は、見送ったパソコン購入も含めて、生産性計測のための新たなデータ、生産性の計測方法や計測結果に関する既存研究(専門書)などを購入する。また、1990年代以降の経済財政政策の詳細な内容をサーベイするために必要な資料・文献も購入する。その他、学会参加のための旅費も使用する予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All Other

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 研究開発と法人税制-企業規模別データに基づく試験研究費税額控除の分析-

    • Author(s)
      前川聡子
    • Organizer
      日本財政学会第69回大会
    • Place of Presentation
      淡路夢舞台国際会議場

URL: 

Published: 2014-07-24  

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