2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24530377
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
玉井 寿樹 近畿大学, 経済学部, 准教授 (00456584)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 財政の維持可能性 / 財政政策 / 金融政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、現行の金融市場制度下で財政金融政策が実体経済の経済規模・安定性に与える影響を明らかにすること、それらを明らかにすることで、経済を安定化する政策ルールの導出及びその政策実行判断の基礎資料を提供することを目的としていた。最終年度にあたる本年度では、不確実性と財政の黄金律の下での最適政策について研究を行った。そこでは、不確実性を最適制御し、社会厚生を最大にするような均衡が実現可能であることが示され、金融市場の不安定性の程度を最適な水準に適正化する政策が実行可能であることが明らかになった。さらに、G5を対象にこれらの理論分析の結果のデータによる検証を試みた。具体的には、理論モデルから導出される均衡値とデータからの推定値の差を調べることにより、理論モデルの妥当性、現実経済の説明可能性を考察した。分析の結果、イギリスはその差が極めて小さく理論モデルが現実を説明するうえで有益であることを示唆された。さらに、他国においては現実の経済状態が最適状態と比べてどの程度剥離しているのかを示す結果が得られた。例えば、フランスは最適な状態に較べて過大な公的資本を抱え、その結果市場の不安定性を高めたことが、アメリカにおいては逆に過小な公的資本が不安定性を高めたことが示唆された。総括すると、財政の黄金律を採用している国が比較的最適状態に近いとの結果が得られ、このことから財政の黄金律が市場安定性を最適な状態に近づける重要な政策的手段であることが示唆された。
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