2013 Fiscal Year Research-status Report
貨幣市場なしで通貨は管理できるか:ソ連計画経済の蹉跌
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24530392
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
中村 靖 横浜国立大学, 国際社会科学科研究院, 教授 (60189066)
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Keywords | ソ連 / 計画経済 / 通貨管理 / 資金循環 / 国民経済計算 / 経済発展 / 生産性 / 生産関数 |
Research Abstract |
H25年度は、ソ連国民経済計算(国民経済バランス)統計、外貨・貴金属管理関連統計の収集を目指したが,新たな資料の発見はできなかった.そのため,これまでの通貨金融経済面の研究のとりまとめをおこなうとともに,実物経済面の分析をすすめた. ソ連期通貨金融経済については,2本の論文と1本のディスカッションペーパーを発表し,ウプサラ大学スラブ研究所において報告をおこなった. ソ連期実物経済については,ベイズ・モデル化した時変パラメータ生産関数をマルコフ・チェーン・モンテカルロ法により推計する方法を確立し,ソ連,ロシアの経済成長を資本生産性,労働生産性のの変動から再評価する分析をおこなった.ソウル大学,オウル大学,一橋大学において関連する報告をおこなうとともに,3本の論文として発表を準備している(ディスカッション・ペーパー1本発表済み,1本準備中,他の1本はジャーナル投稿中). H26年度は,研究計画の最終年として,ソ連実物経済・金融経済相互連関モデルの作成を通じて,ソ連期の通貨金融経済の分析を完成させるとともに,もっとも需要な資料であるソ連国民経済計算(国民経済バランス)統計の発見に引き続き努力したい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現有データにもとづく実物経済面の分析は著しく進み,これまでのソ連期貨幣-金融経済の分析の総括もおこなった.現有の外貨データに基づく外貨と国内資金循環との分析も終了した.しかし,ソ連期の外貨関連データ,国民経済計算バランス統計のさらなる収集を目指したものの,新たな資料の発見は困難だった.これらの資料が全く存在しないとは考えられないため(ただし意図的に非公開扱いが計ぞあくされている資料に含まれている可能性は排除できない),公文書館における調査をさらに継続したい.
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Strategy for Future Research Activity |
(1)ソ連期の技術進歩・生産性変化の分析結果との比較のために,他国の長期的技術進歩,生産性変化の比較分析をおこなう. (2)現有データに基づき,ソ連実物-金融経済時変パラメータ・ベイズモデルを作成し,分析する. (3)1962年以降のソ連国民経済計算(国民経済バランス)統計データの調査・収集を引き続きすすめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
価格の変動等によって生じた予定購入金額と支払額との相違による. 翌年度の図書資料費と合わせて図書資料を購入する.
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