2012 Fiscal Year Research-status Report
グローバル・アライアンス成果に対する企業間多様性の影響に関する研究
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24530475
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
安田 洋史 青山学院大学, 経営学部, 教授 (90588542)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 企業間多様性 / グローバル・アライアンス / アライアンス成果 |
Research Abstract |
本研究では、グローバル・アライアンスを国内アライアンスと比較しつつ、パートナー企業間の多様性がアライアンスのパフォーマンスにどのように影響するかを実証的に分析し、そこに内在するプロセスを探ることを目的としている。本年度は研究初年度として、まず関連する先行研究・文献を広範囲にレビューし、本研究において注力すべき視点とその方向性を明確にした。特に本研究における重要な概念である企業間多様性について、それを特徴づける各種要因を特定した。 これに引き続き、インタビュー調査とアンケート調査を実施した。インタビュー調査は国内企業および外国企業について、それぞれのアライアンス・プロジェクトの責任者を対象に行った。外国企業に関しては、米国の大手IT企業のニューヨーク州における開発拠点、及び韓国の大手電機企業のソウル市近郊における開発拠点に出向き、それぞれのプロジェクト関係者の見解を聴取した。これらのインタビュー結果をもとに、企業間多様性とアライアンス成果との関係に関する仮説を導出し、この仮説に基づいて、企業間多様性の各要因とアライアンス成果とを関連づけるモデルを構築した。そして、このモデルの妥当性を定量的に検証すべく、多数の企業を対象にしたアンケート調査を実施した。この調査では半導体業界の主要および中堅企業を対象に、業界団体の協力を得て質問票を送付し、それに対する回答を得た。 またこの間、国内外の学会に参加し、関連する分野の研究報告を聴取し、研究者との意見交換を行った。米国経営学会(Academy of Management)の年次総会では、アライアンス研究をテーマにしたセッションに参加し、世界各国の研究者の研究動向について把握した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では初年度(平成24年度)の具体的な目標として、(1)先行研究・文献の調査、(2)調査対象事例の選定、(3)プロジェクト責任者を対象としたインタビュー調査、および(4)仮説の導出を挙げていた。(1)については、ほぼ予定どおり目標を達成した。(2)(3)については当初、10件ほどの調査(インタビュー)対象事例を選定することを計画していたが、実際にインタビューを実施することができたのは5件であった。従って、事例数として目標に満たなかったが、各社ごとのインタビューでは内容の充実した質疑が行われ、多くの貴重な知見が得られた。また複数の関係者にインタビューを行うことができた企業もあった。(4)については、インタビュー調査の結果をもとに、企業間多様性とアライアンス成果との関係に関する仮説を導出した。またこの仮説に基づいて、企業間多様性の各要因とアライアンス成果とを関連づけるモデルを構築した。このように、(1)~(4)について、インタビュー事例数を除くと、ほぼ計画どおりのスケジュールと内容で研究活動を遂行できたと考える。平成25年度にも引き続き、事例対象企業を追加で選定し、インタビュー調査を継続する予定である。なお、当初、アンケート調査は二年目(平成25年度)から実施する計画であったが、この一部を初年度(平成24年度)に実施した。アンケート調査結果を統計的に分析することにより、上記(4)で導出した仮説やモデルの検証を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は引き続き、事例対象企業を追加で選定し、それぞれのアライアンス・プロジェクト責任者に対するインタビュー調査を実施する。これにより、企業間多様性とアライアンス成果との関係についての仮説や、企業間多様性の各要因とアライアンス成果とを関連づけるモデルをより精緻なものとしてブラッシュ・アップする。特に、欧州および米国企業を事例として追加し、よりグローバルな視点から本研究課題に取り組む。そのために、これらの企業を選定したうえで、それぞれの開発拠点に出向いた現地調査を行う。またアンケート調査で得られた結果の分析を進め、提示した仮説や構築したモデルの妥当性を検証する。アンケート調査のサンプル数を増やしてその信頼度を高めるために、他の業界を対象にした二回目のアンケート調査を検討する。こうして、インタビュー調査結果に基づく定性的な分析と、アンケート調査結果に基づく定量的・統計的な分析を補完させることにより、説得力のある議論を展開していきたい。また引き続き、国内外の学会に参加し、特にアライアンス研究に関する世界の研究者の動向を把握しつつ、自らの研究の方向性を定めていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画では初年度に欧州企業の現地調査を行う予定であったが、これが韓国企業の現地調査に変更されたために旅費総額が少なくなり、「次年度使用額」が発生した。25年度は米国企業および欧州企業の現地調査を計画しており、これに加えて国内企業の現地調査、さらには国内外の学会への参加のための旅費として研究費を使用する予定である。また第二回目のアンケート調査を行うことを検討しており、そのための調査費用や文献・書籍・データベース等の購入に対して研究費を使用する予定である。
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Research Products
(2 results)