2014 Fiscal Year Annual Research Report
ワーク・ライフ・バランスの一環としての両立支援策の再構築
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24530492
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Research Institution | Wako University |
Principal Investigator |
坂爪 洋美 和光大学, 現代人間学部, 教授 (10329021)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 両立支援策 / 管理職 / 女性 / キャリア |
Outline of Annual Research Achievements |
企業へのワーク・ライフ・バランス(以下、WLB)の浸透が進む中、短時間勤務制度の利用者が急増しており、施策利用が利用者のキャリアに与える影響を検討することが急になっている現状を背景として、2014年度は育児による短時間勤務制度を利用する女性正社員(以下、短時間勤務利用者)の部下を持つ管理職559名に対してインターネットを通じた質問紙調査を実施した。管理職を対象とした理由は、彼らは部下への仕事の与え方ならびに、評価を通じて部下のキャリア形成に対し大きな影響を与えると考えられるからである。 調査結果については現在詳細な分析を行っているが、概要としては以下の2点を指摘することができる。まず、短時間勤務利用者と、平均的な同期とを比較した場合の昇進・昇格の遅れについて、51.2%が「平均的な同期と比較して変わらない」と回答した。だが、短時間勤務利用者の中長期的なキャリア展望については、「短時間勤務制度利用中に生じた遅れを、短時間勤務終了後にも取り戻すことはできず同期に追いつくことはできないが、遅れてキャリアアップする」と回答したものが34.7%、「短時間勤務制度利用中は遅れるが、短時間勤務終了後、同期に追いつく」と回答したものが34.0%であり、現時点ではキャリアの遅れは生じていいないが、短時間勤務制度利用はキャリアの遅れにつながると認識している管理職が一定数存在することが確認された。また、日々の接し方では「育児と両立できるように配慮している」といったWLBへの配慮の方が、「能力を高めるような仕事を与えている」といったキャリア形成を促進する働きかけよりもより積極的に行われていることが確認された。 今後、短時間勤務制度利用者への対応(キャリア形成促進・WLBへの配慮)の規定要因を検討することを通じて、短時間勤務利用者のキャリア形成を促進する管理職の行動の規定要因を明らかにする予定である。
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