2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24530510
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
前田 祐治 関西学院大学, 経営戦略研究科, 准教授 (70456747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
メッセイ デヴィッド 関西学院大学, 経営戦略研究科, 教授 (50294244)
杉野 文俊 専修大学, 商学部, 教授 (50407631)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | リスクマネジメント / 企業ファイナンス / キャプティブ / 保険 / リスクファイナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では「キャプティブを通じてのリスクファイナンスが、英米の企業と比べて、なぜ日本企業には浸透しないのか」の課題に対して、3つの仮説を立てて「ミクロ分析」と「マクロ分析」の2つのアプローチにより実証分析を行った。1つめの仮説「日本企業の経営手法、統治構造や意思決定のプロセスとの因果関係がある」の仮説に対しては、欧米企業と比べて日本企業の特異な統治構造と意思決定のプロセスは、リスクファイナンスの選択に密接な因果関係があることがデータにより判明した。2つめの仮説「日本企業のキャプティブの設立コストが相対的に高いため、リスクの効率的な管理とはならない」に対しては、実際には、その仮説に対立する証拠を得た。つまり、キャプティブにより効率的なリスク管理がなされるはずであるとの結論を得た。この証拠が示唆するところは、日本企業があえてキャプティブを選択しないのは、その効率性以外の要因によるとの結論である。データや企業との面談により判明したのは、専門性の高いリスクマネジャーの不在、保険会社への説得能力のなさ、損害データの不備などのリスクマネジメントの構造的な不備によりキャプティブの設立が難しいとの結論である。3つめの仮説「取引保険会社と利益が相反するキャプティブは非合理な経営判断である」に関しては、株主である保険会社は企業キャプティブにより間接的に恩恵をうけるとの結果を得た。しかし、保険会社の意思決定は持ち株会社の価値向上に依らない。むしろ、既存の商取引の継続性を重要視する傾向にある。また、保険会社は持ち株会社のリスクマネジメントの変化にネガティブな反応をする傾向があることが分かった。
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Research Products
(2 results)