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2013 Fiscal Year Research-status Report

環境ビジネスの戦略性に関する研究―所有権理論と企業間関係論より―

Research Project

Project/Area Number 24530515
Research InstitutionHijiyama University Junior College

Principal Investigator

粟屋 仁美  比治山大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (30342306)

Keywords経営学 / 戦略 / 環境ビジネス / 自動車リサイクル / 動脈と静脈 / CSR / 市場創造 / 所有権理論
Research Abstract

本研究は,外部性の内部化を,所有権理論,企業間連携の観点より検討し,戦略的な市場化・事業化の方法を導出することを目的としている。具体的には,社会的課題の解決という社会性を追いながら,他社との競争優位を生じる事業戦略のフレームワークを提起するものである。方法は,環境ビジネスを対象とし,フィールド調査により解に接近する。
これまでに,衣類やプラスティックトレー容器,工場廃棄物の炭化について事例考察を行っている。廃棄物やその処理は,資源循環市場の交換対象として社会制度化されつつある。それらからの導出をより理論化するために,平成25年度は自動車リサイクルに関係する市場創造の事例研究に着手した。同年度末には自動車リサイクル促進センターにヒアリングに行き,法制度の現状把握を行った。
今年度は自動車リサイクル研究の権威である熊本大学の外川健一先生に面談していただき,現在の自動車リサイクル研究の動向をご指導いただいた(平成25年8月13日)。
その上で,現場の企業の状態をフィールド調査した。調査先は以下の4社である。株式会社 エビス(広島県安芸郡)(平成25年5月28日),三木鋼業株式会社(香川県)坂出工場&高松工場(平成25年8月27日),株式会社ワイテック(広島県安芸郡)(平成26年2月14日),株式会社3R(埼玉県久喜市)(平成26年3月24日)。また産官学の研究組織である広島県資源循環プロジェクト委員会に,平成25年度秋より招聘講師として参加しており,自動車解体に関連する企業が連携してリサイクルに取り組む実態の情報をタイムリーに入手できる状況となっている。
なお,研究途中ではあるが,経営哲学学会・日本経営学会北海道部会(平成25年7月20日)において「自動車リサイクルに関する市場創造と,市場拡大を阻む要因の一考察」のタイトルで学会報告を行い,聴講者より多様な示唆をいただいた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

市場創造・事業創造の側面より環境ビジネス(廃棄物のビジネス化)における事例の蓄積の最中ではあるが,これまの事例研究により以下の導出を行っている。まずは食品容器トレーのリサイクルの成功例より,リサイクル時に所有権をいかに分散させるかが成功の要因であった。また工場での製造時に排出される廃棄物の炭化においては,ごみとして処理されるマイナスの所有権をいかにプラス(有価物化)にして移転させるか,移転先探しも含め重要なポイントである。中小企業の連携による環境ビジネスの創造事例より,ニッチな外部性の発見と連携による相乗効果が成功要因であると考えた。法制度が未整備の衣類のリサイクルにおいては,市場創造途中ではあるがリサイクルによるビジネス創造を機能左折には,マイナスの外部性の収集と,リサイクルされた衣類を容認する価値観の醸成,それによる移転先の確保が課題であることが明らかとなっている。
「研究実績の概要」に述べたように,平成25年度は,自動車のリサイクルシステムについてのフィールド調査を行った。これらの調査結果を理論化するのが今年の大きな課題となるが,今時点における自動車リサイクルの課題は以下の二点である。
まずは,情報の非対称性の克服である。メーカーと解体業者において,解体業者が廃車の素材の識別が容易になるよう,メーカーの意識改革が求められる。また中古部品販売と消費者間においては,中古部品に対する認知度が日本ではいまだ低い,よって販売サイドのネットワーク化による消費者の信頼の獲得が重要である。
次に動脈サイド(自動車メーカー)の意識の向上である。静脈で作られた(リサイクルされた)素材を動脈で積極的に活用し,できればカーtoカーへとリサイクルできることが望ましい。
以上のようにリサイクルにおける市場創造に関しては,本研究の目的である戦略的な市場化・事業化の方法を導出することに近づきつつある。

Strategy for Future Research Activity

前半はフィールド調査研究を継続する。
自動車リサイクルは,規模も大きいため,継続する。リサイクルの最終工程であるASR処理の調査や大規模もしくは小さな規模の工場の調査を可能な限り実施する予定である。自動車のリサイクルは法制度化されある程度は機能している。同時に参入の困難さや,既得権を持っている企業の競争優位の強化,タイプによる手法の違いなど奥が深い領域である。自動車リサイクルの動脈静脈の関係性にも留意しながら,事例研究に取り組む。
後半は本研究のまとめに充てる。
マイナスの外部性を有価物化することにより創造される市場は,マイナスの外部性の量の確保が重要である。よって自動車リサイクルにおいても使用済自動車の確保が最大の課題とされている。しかし実際は,使用済自動車を多数確保することが,即利益につながるわけではない。使用済のごみを有価物化する効率性が問題となる。こうした市場創造の流れを,経済的コストや所有権理論を援用しまとめる予定である。
市場創造とはいえ,新規なのか既存市場の別パターンなのか,扱う商品の種類や法制度により千差万別ではある。これまでの研究で蓄積した自動車以外のリサイクル市場,プラスチック容器や衣類などの市場創造も総括し,戦略論と絡み合わせながら理論的フレームワークを導出する予定である。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

研究成果の途中報告を、海外開催の学会で行う予定であったが、勤務校の行事と重なり参加することができなかった。よって使用予定額を下回った。
国内旅費に使用する。出張先は,企業ヒアリングと学会参加である。ヒアリング先は理論を最終的に固めるための,広島近隣の企業,日本国内の自動車リサイクル関連機関(関東,東北)などである。学会は情報収集のための参加と,自身の研究報告である。現時点では,情報収集のため関東や北海道で開催される経営学系の学会に参加,日本経営会計学会全国大会と経営哲学学会全国大会の統一論題での研究報告を予定している。
上記旅費に伴って,学会参加費,会議費にも使用する。

  • Research Products

    (4 results)

All 2014 Other

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (3 results)

  • [Journal Article] 社会的課題の事業化の判断基準―衣類リサイクルシステムの事例より-2014

    • Author(s)
      粟屋仁美
    • Journal Title

      比治山大学短期大学部紀要

      Volume: 49 Pages: 15-28

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 自動車リサイクルに関する市場創造と,市場拡大を阻む要因の一考察

    • Author(s)
      粟屋仁美
    • Organizer
      経営哲学学会・日本経営学会北海道部会
    • Place of Presentation
      東京農業大学
  • [Presentation] 経済的コストからみる自動車リサイクル市場(予定)

    • Author(s)
      粟屋仁美
    • Organizer
      日本経営会計学会
    • Place of Presentation
      立教大学
  • [Presentation] 未定

    • Author(s)
      粟屋仁美
    • Organizer
      経営哲学学会
    • Place of Presentation
      東京富士大学

URL: 

Published: 2015-05-28  

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