2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530554
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
竹島 貞治 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (50312533)
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Keywords | 概念フレームワーク / 事象 / キャッシュフロー / サイクル / 財務諸表 / 財務報告 |
Research Abstract |
本年度は、Takeshima and Sorter[2009]モデルとドイツのサイクルモデル、とくにSchmalenbach[1919]のサイクルモデルとの比較検討を行い、Takeshima and Sorterモデルにおける稼得サイクルの概念について再検討を行った。 また、Professor G. H. Sorterとの共同研究により、現行会計実践において認識される会計事象の分類カテゴリーについて検討を行うとともに、投資サイクルを構成する事象および財務サイクルを構成する事象に関して、財務報告における情報提供の拡張可能性を見出した。 上記の研究成果については、Professor Sorterと共同論文を2本作成した。本共同論文については、国際誌に投稿を行っている。 上記に加え、本年度は事象サイクルアプローチのもとでの勘定システムについて検討を行い、事象サイクルアプローチにもとづく財務諸表のプロトタイプの作成を試みた。また、伝統的財務諸表と事象サイクルアプローチにもとづく財務諸表とを比較し、次の諸見解を得た。すなわち、(1)事象サイクルアプローチによる財務諸表では、損益計算書とキャッシュフロー計算書のほかに、新たに投資サイクル事象と財務サイクル事象に関する2つの事象報告書が提供されうること、(2)事象サイクルアプローチによる財務諸表では、認識される会計事象はすべて事象として報告され、かつ、それらの数値は総額によって開示されること、および、(3)事象サイクルアプローチによる財務諸表では、貸借対照表は「企業の財務状態を表す表」としてではなく、「企業で生起した4つのサイクル事象の残高を集めた表」としてみなされること、を指摘した。本研究成果については、雑誌『会計』第184号第4号において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は、Takeshima and Sorter[2009]で表した事象サイクルを用いて財務報告を構築するため、5つの課題を設定した。現在までに、当初予定していたTakeshima and Sorter[2009]モデルとアメリカおよびドイツのサイクルモデルとの比較検討を行い、2つ目までの課題を達成している。 また、4つ目と5つ目の課題に関する事象サイクルモデルによる財務諸表の作成についてすでに着手している。よって本研究は当初の計画以上に進展しているといいうる。
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Strategy for Future Research Activity |
事象サイクルアプローチにもとづく財務諸表では、キャッシュフロー情報がその中心に位置づけられている。今後は事象サイクルモデルにおいて時価や公正価値などの情報をどのように扱っていくかという点について研究を進めていきたい。また、事象サイクルアプローチにもとづく財務報告の便益とコストに関しても研究を進めていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定していた国際学会への参加を取りやめたため、25年度の研究費に未使用額が生じた。 26年度は国際学会での報告を複数回予定しており、今年度行う予定の研究計画と併せて実施する。
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Research Products
(4 results)