2013 Fiscal Year Research-status Report
企業価値の評価と創造の日欧比較-日英仏独の企業を対象として-
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24530580
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
青淵 正幸 立教大学, 経営学部, 准教授 (00290130)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清松 敏雄 多摩大学, 経営情報学部, 准教授 (40623541)
青木 茂男 茨城キリスト教大学, 経営学部, 教授 (50129061)
中嶋 教夫 明星大学, 経営学部, 准教授 (90409425)
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Keywords | 欧州企業のヒアリング調査 / イングランド中部の中小企業調査 / イングランド南部のNYSE上場企業の調査 / パリ近郊企業の経営 / ドイツ中部の大規模未上場企業の調査 / ドイツ中部の農業経営者への調査 |
Research Abstract |
本年度の研究目的は、前年度(平成24年度)において実施した研究、すなわち日欧企業における経営指標、財務構造、資金調達構造、マネジメントシステムを相違に関する研究について、その実態を確認することにある。目的を達成するため、本年度は欧州3カ国を訪問し、計5社の経営者もしくは会計担当者、CFOに対してヒアリング調査を実施した。 わが国において、米国企業を対象とした企業財務の比較分析研究は、その成果が着実に蓄積されつつある。一方で、欧州企業を対象とした研究は、あまり類を見ない。本研究の意義は、日本企業の財務と欧州企業のそれを比較すること、および米国企業を対象とした先行研究との比較を行うことで、欧州企業の価値評価に道筋をつけることにある。 21世紀になり、ICT技術の進展によって、国境に関係なく資金の移動が容易になった。それを後押しするかのように、会計基準も国際的な統一が図られるように調整が進められている。ただ、財務諸表のルールが統一されたとしても、それをベースに行われる財務分析や企業価値評価は単一のものとはならないだろう。おそらく、貨幣価値では認識できない地域的な要素が隠れているからである。会計基準の国際的統一が図られる前に欧州企業の価値評価を行い、比較分析を行うことは、後の研究にも1つの視座を提供することが期待される。 本年度は、欧州の大小の企業、あるいは上場・未上場の企業を訪問し、ヒアリングを行うことで主として以下のことが確認された。第1に、欧州企業の経営者は、企業の規模を問わず概ね自社の収益性は普通であり、同業他社と相違ないと感じていることである。ただし、日本企業の収益性が相対的に低いことについて、その理由は確認できなかった。第2に、上場企業は株主重視の経営を、未上場企業は規模を問わず地域との共生を第一義と考えていることである。研究は、概ね計画通りに遂行された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度には本研究を遂行するための基礎的な研究を、平成25年度は前年度の研究を基に現地視察とヒアリングを計画した。 2年間の研究は概ね計画通りに進行できた。なお、研究分担者のうちの1名が平成25年度終盤に予定していた日本の中小企業へのヒアリング調査が未達成のまま年度末を迎えた。ただ、平成26年度の早い時期に、ヒアリング調査を実施する見込みである。 平成26年度の課題は、本研究の成果をまとめ、完成させて外部に公表することであり、これは、交付申請書に記載した当初の研究計画どおりである。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の主たる目的は、日欧企業における企業価値の測定および評価の比較にある。その目的に向け、平成24年度は研究代表者、研究分担者とも、各の研究の視点に立脚して欧州企業の財務的特徴を中心とした基礎的研究を行った。その結果、欧州企業の収益性はわが国企業のそれに比して概ね高いことが確認された。また、欧州企業は日米企業と比較して上場数が少ないことが確認された。 平成25年度の研究活動は、前年度の基礎的研究を基にした現地企業の視察である。具体的には、英国の製造業2社(上場企業1社、中小企業1社)、仏国のサービス業1社(未上場)、独国の製造業1社(大規模未上場企業)および農業1社(未上場)を訪問し、欧州企業と日本企業を比較するためのヒアリング調査を実施した。その一部は、学会報告や論文として発表した。 平成26年度は、過去2年の研究成果を集約し、外部に公表する年度となる。研究代表者および研究分担者は、各自の研究テーマに沿って論文の執筆や学会報告を行う。それに向け、概ね1カ月に1回程度の研究会を開催し、研究の進捗状況を報告する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が生じたのは、研究代表者の青淵と研究分担者の中嶋の2名である。研究代表者の青淵は、当初予定していた学会参加の旅費を他の予算で充当したために未使用となった。当該予算の残りは、平成26年度の学会旅費として執行することを予定している。 研究分担者の中嶋は平成25年度終盤に日本の中小企業を数社訪問して、欧州でのヒアリング結果との比較分析を行う予定であったが、学内業務と先方の都合の関係で日程があわず、やむなくヒアリングは平成26年度へと遅らせることとなった。その際の旅費と、出張後のデータ処理のアルバイト代(人件費)が未使用で残った。当該出張は、平成26年度の早期に予定されている。 平成26年度は昨年度の文献研究、今年度の現地調査の結果をまとめる年度となる。そのために必要となる諸経費(プリンタトナー代や用紙代、簡易製本代)として、計画時に4人で100千円を見込んでいる。 それに加えて、研究代表者の青淵は平成25年度に未使用で残った約60千円を学会出張旅費に使用し、研究分担者の中嶋は、中小企業数社へのヒアリングのための旅費(約200千円)とその準備のための物品(図書・雑誌)の購入(約50千円)、ヒアリング後のデータ処理の人件費(約30千円)に使用する予定である。
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