2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530585
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
山下 裕企 愛知大学, 経営学部, 教授 (70256684)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 税負担削減行動 / カレント実効税率 / 残余BTD |
Research Abstract |
本研究は、税負担削減行動のいくつかの指標について理論的・実証的に検討し、それらの日本における特徴および有効性を明らかにすることを目的としている。研究初年度である平成24年度では、税負担削減行動の指標としてカレント実効税率および残余BTD(residual book-tax difference)を取り上げた。 前者では、2003年度から2007年度の日本企業のデータを用いてカレント実効税率の連単比較を行った。その結果、長期カレント実効税率でみても短期カレント実効税率でみても日本企業は連結の税負担が重いこと、連単共通となる長期カレント実効税率の規定要因として企業規模・収益性・負債の利用度があげられること、および長期カレント実効税率の連単差は関係会社配当・連結納税の採用・売上連単比率・海外売上比率・企業規模によって説明できること等が明らかになり、これらの成果は論文として発表された。 後者では、文献等を通じて理論的な検討を行った後に、日本における残余BTDの特徴や有効性を明らかにするための基礎的な分析として、1993年度から2004年度の日本企業の単体データを用い、残余BTDの年度別傾向や業種別傾向を検討した。その結果、残余BTDを測定するモデルの決定係数がきわめて小さいこと、この傾向はいくつかの考え方に基づく裁量的会計発生高を用いてもかわらないこと、年度別に見た場合に残余BTDの規模は分析期間を通じてBTDよりも小さいものの残余BTDとBTDは同様の変化をしていること、自動車・電力・ガスといった業種ではBTDと残余BTDの差が大きいこと等が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カレント実効税率の連単比較については予定通りに進みその成果が論文として発表されたが、残余BTDについては予定以上に分析を進めたものの当初想定していたものより結果が悪かったため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで比較的順調に進んでいいるため、研究実施計画に大きな変更はない。予定通りに平成25年度はまず残余BTDの分析をさらに進めていくが、これまでの結果から残余BTDが日本では有用な指標となり得ない可能性がある。この場合はより早い段階からtotal BTDの分析に着手するとともに、税負担削減行動のその他の指標についても検討を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究打合せをTV会議により行うことができたため旅費が節約できた一方で、必要な文献が予定より多くなったため、若干の残額が生じた。この残額は、次年度において旅費ないし文献の購入に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)