2012 Fiscal Year Research-status Report
グローバルな文化生産におけるナショナル・アイデンティティの再構築に関する研究
Project/Area Number |
24530664
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
藤田 結子 明治大学, 商学部, 准教授 (30453533)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 文化生産 / ナショナル・アイデンティティ / アート・ワールド / 日本らしさ / グローバリゼーション |
Research Abstract |
本研究は、グローバリゼーションのなかの文化とアイデンティティに関する理論的考察を行うことを目的とする。考察のため、「国境を越えて文化生産が行われるとき、どのように『日本らしさ』が再構築されているのか」という研究の問いを設定し、事例調査を実施する。 平成24年度は、文献研究を中心に行った。第1に、グローバリゼーションのなかのナショナルな文化とアイデンティティに関する研究を整理・検討し、この問題に関する理論的動向をとらえた。また、文化生産と人種、ナショナリティに関する事例研究を整理し、知見を比較検討した。 第2に、調査を実施するための方法論に関して、文献のレビューと考察を行った。従来のエスノグラフィーのあり方を批判的に考察し、本研究を行ううえで最も適切な調査の方法について検討した。具体的には、1970年代頃から広まってきたエスノグラフィーの諸アプローチを検討し、とくに、新しいアプローチである「マルチサイテッド・エスノグラフィー」の方法について考察した。また、自己再帰性やポジショナリティ、匿名性などの倫理的問題についても検討した。その成果を編著書『現代エスノグラフィー――新しいフィールドワークの理論と実践』(新曜社、2013年3月出版)にまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
半年間、産前産後休暇・育児休暇を取得したため
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年・26年度は、文献のアップデートを行いつつ、次の方法でフィールド調査を行う。調査地はグローバルな文化生産が行われている国内または海外の都市とする。 (1)サンプリング 対象者―日本出身の文化生産者と仕事上の関わりを持つ欧米のパタンナー、モデリスト、職人、ディーラー、キュレーター、広報、販売員、バイヤー、編集者・記者、批評家、大学・専門学校の教職員等。方法―応募者が以前に実施した調査に参加した日本出身の文化生産者を通してスノーボール・サンプリングを行う。まず20名程度を目標にインタビューを実施し、その後参加者を増やしていく。 (2)インタビューと参与観察 リクルートした調査参加者に対して、主にオープンエンドのインデプス・インタビューを実施する。言語は英語または日本語を使用する。さらに、調査参加者が関わる組織や活動する現場で参与観察を行う。さらに、可能な限り、調査の参加者にフォローアップのためのインタビューを実施し、聞き逃した点や意識の変化等を探る。 調査実施後の分析は、(1)録音されたインタビューのテープ起こしを業者に委託する、(2)応募者自身が音源とその記述された内容を照らし合わせて確認・修正する、(3)テープ起こしさされたインタビューテクストの内容をコード化してパターンを分析する、(4)調査の問いに答えるための考察を行う、の順で実施する。以上の結果を国内・英語圏の査読の有る学術雑誌への論文の執筆・投稿と、英文の研究報告書の作成を中心に行う。 現時点では、平成26年度までに予定しているすべての作業が完了しない可能性が高く、平成27年度への延長を申請したいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に、半年間、産前産後休暇・育児休暇取得することになったため、予定していたフィールド調査を実施することができなかった。そのため、当該研究費が生じた。 以上の理由から、平成24年度に予定していたフィールド調査を次年度の平成25年度に実施する予定である。また、平成25年度に予定しているフィールド調査も一年ずらして、平成26年度に実施する予定である。
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Research Products
(2 results)