2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530685
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University of Economics and Law |
Principal Investigator |
大曲 由起子 大阪経済法科大学, アジア太平洋研究センター, 研究員 (00626327)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鍛治 致 大阪成蹊大学, 経営情報学部, 准教授 (50465655)
樋口 直人 徳島大学, その他の研究科, 准教授 (00314831)
高谷 幸 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (40534433)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 移民 / 外国人労働者 / 階層 / 貧困 / 移住労働者 / 国勢調査 / 教育 / ジェンダー |
Research Abstract |
本年度は、5月に全体で集まって項目を検討し、6月には統計センターを訪問してどのような統計的区分を採用しうるか、担当職員と打ち合わせを行った。その上で、7月に1990、1995、2000、2005年実施の国勢調査データのオーダーメイド集計を行った。8月にはデータを入手し、9月には第一次のデータ開示として、2005年データを用いて全体を概観した論文を執筆した(仕事、家族とジェンダー、教育と子どもの家庭背景)。ここでの発見は、2000年と比較しても5年間の間に一定の変化が生じていることであり、例えば在日コリアンの職業はかつてのエスニック・ニッチが縮小していた。12月には第二次のデータ開示論文の一部を執筆し、通学率における変化をあとづけた。 また、複数の市民団体の要請により、在日外国人の社会経済的状況に関する統計的分析を複数寄稿した。ここでは、過去15年のデータを用いて高校通学率の国籍別相違、日本人と韓国・朝鮮人のホワイトカラー比率の世代的変化、非労働人口の推移なども紹介している。詳細な分析は論文で行うが、そこでわかったのは以下のような点である。在日韓国・朝鮮人においては若年層になるほど日本人とのホワイトカラー比率の格差が縮小しており、ホワイトカラーの絶対的比率も若年層ほど高くなっている。その一方で、中高年層が引退を迎える年齢以前に自営業セクターから退出する傾向が増えており、そうした者の多くは失業状態にある。すなわち、エスニック・ニッチの縮小はホワイトカラーへの進出のみならず、ニッチから退出した層の失業をも生み出している。さらに、ニューカマーにおいても引退する者が増加しており、年金加入期間が短く社会保障が十分でないこと、子どもの学歴が低く両親の扶養が負担になることが相俟って、日本人より深刻な「高齢者問題」が生まれつつある、それが今後深刻になる可能性も、現時点で考慮する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り1990~2005年までのデータは揃えることができた。それをもとに、紀要に4本のデータ開示論文も執筆した。これは予定通りの進展といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2010年国勢調査の抽出詳細データの公表予定は、2013年10月となっており、それからオーダーメイド集計が可能になるまでさらに時間がかかる。そのため、2010年データが揃って20年間の動態がわかるようになるまでには、予定より時間がかかって2013年度内に終わる見込みとなる。翌年度で成果を出すためには、さしあたり入手した15年分の動態をあらかじめ分析しておき、2010年データと併せて知見を迅速にだしうる体制が必要となる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国勢調査に用いるとともに、2010年データの分析に必要な研究会を多目に開催する。
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Research Products
(10 results)