2012 Fiscal Year Research-status Report
高度経済成長期における児童福祉調査研究~その蓄積と表象~
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24530715
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamaguchi Prefectural University |
Principal Investigator |
加登田 恵子 山口県立大学, 附属地域共生センター, 教授 (30139365)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 児童調査 / 児童労働 / 長期欠席 |
Research Abstract |
戦後日本における児童福祉調査は、その膨大な調査数のみならず、実施主体、調査対象、調査手順について多様な展開がされ、縦割り政策主体のもとに、各種の調査はデータの氾濫の様を呈している。そこで今回は、高度経済成長期を中心に、戦後実施された「広義の児童福祉調査」をキーワードにそって系統的に収集し、検証可能な調査資料群として整理した上で、調査結果が示す児童の生活自体とその変化分析することを通じて、戦後の児童福祉調査の展開の特徴とそれが表出した今日の児童福祉の課題を明らかにすることを目的とする。 本研究においては、我が国の児童政策の主軸である、「教育」の対極にある「児童労働」ならびにそれに関連する教育制度との齟齬状況に生ずる「長期欠席・不登校・登校拒否」の二分野に焦点化し、調査史分析の手法により研究を行うものである。 研究計画としては以下の通りである。「児童労働」については、一連の「調査・結果」の分析により、教育と労働の間のグレーゾーンを行き来する高齢児童(中卒児童・高校中退生徒・児童養護施設出身児童等)の生活と問題について分析を行う。さらに「長期欠席・登校拒否・不登校」については、一連の「調査・結果」の分析により準義務教育体制から排除・不適応の児童の生活実態の推移から分析を試みる。 最後に、両分野における調査・結果を統合し、高度成長期における我が国の<教育・労働・福祉>の制度の絡まりが、<学校制度>をはみ出た、社会における児童の生活実態に及ぼした全般的な影響について考察することとする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は『暫定版 戦後日本における児童福祉調査リスト』をもとに「労働児童調査」及び「長期欠席・不登校等」問題をめぐる調査リスト(データベース)の補完作業と主要調査資料の収集整理を行う。また、高度成長期に焦点化して、調査結果や独自の調査技術を巡る内容的な検討を開始し、次年度以降の分析や検証の方向性を探った。フィールドワークとして、大阪府立図書館、大阪市立公文書館、大阪府立大学、同志社大学、日本女子大学、東京大学社会科学研究所において資料蒐集調査をおこなうとともに、分散していて入手困難なものについては、適宜、古書資料を購入した。 一連の「労働児童調査」については、厚生省婦人少年局及び地方自治体等における一連の実態調査を系統的に入手しそれらをデータベース化する作業を進めるとともに、それらの変遷と調査技法の検討を加えた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度には、前年度と同様に主要大学及び研究所の所蔵資料調査を継続し、『暫定版調査リスト』の性分や別チェックを進めるとともに、<長期欠席・不登校・登校拒否>関連の調査文献を蒐集する 入手資料のデータベース化作業をすすめ、それらが明らかにした「学校から排除された児童の実態」とそれを捉える調査視点についてまとめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度には、前年に収集した諸調査の補足調査をおこなうために、大阪市立大学保ア、大原社会問題研究所、日本社会事業大学図書館、その他等への出張費ならびに、関係する文献資料の購入・複写、データベースの作成の継続を実施するための作業補助者の雇用等に支出する。
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